中国三つの弱点
ミンシン・ペイ教授は、中国の3つの弱点をあげています。
中国はまず、ソ連が失敗した経済の弱点を洗い出し、経済力の強化を目標とした。中国共産党は過去の経済成長策によって、一人当たりの名目国内総生産(GDP)を91年の333ドルから2017年には7,329ドルに急上昇させ「経済の奇跡」を成し遂げた。他方で中国は、国有企業に手をつけず、債務水準が重圧となり、急速な高齢化が進んで先行きの不安が大きくなる。これにトランプ政権との貿易戦争が重なって、成長の鈍化は避けられない。しかも、米国との軍拡競争に耐えるだけの持続可能な成長モデルに欠く、とペイ教授はいう。
- 国有企業に手をつけない
- 債務水準が重圧
- 急速な高齢化
- 貿易戦争
で成長の鈍化は避けられないと。「急速な高齢化」について、「一人っ子政策」がつづいていたので、理解できますね。日本以上のスピードで高齢化が進んでいきます。
債務について。国有企業の債務残高は2017年末、GDP比159%。さらに家計債務も膨大。中国の家系債務の対可処分所得比率は107.2%。これは、リーマンショック直前のアメリカ家計債務の水準に近いレベルだそうです。
第2に、ソ連は高コストの紛争に巻き込まれ、軍事費の重圧に苦しんだ。中国もまた、先軍主義の常として軍事費の伸びが成長率を上回る。25年に米国の国防費を抜き、30年代にはGDPで米国を抜くとの予測まである。だが、軍備は増強されても、経済の体力が続かない。新冷戦に突入すると、ソ連と同じ壊滅的な経済破綻に陥る可能性が否定できないのだ。
(同上)
2017年の軍事費をみると、アメリカ、6,097億ドル。中国、2,282億ドル(ストックホルム国際平和研究所の推計)。中国の軍事費は、日本の防衛費454億ドルの5倍です。一方、アメリカの軍事費は2017年、GDP比で3.15%。中国は、1.91%で、メチャクチャ多いというわけではありません。
問題は、
軍備は増強されても、経済の体力が続かない。
という部分なのでしょう。
第3に、ソ連は外国政権に資金と資源を過度に投入して経済運営に失敗している。中国も弱小国を取り込むために、多額の資金をばらまいている。ソ連が東欧諸国の債務を抱え込んだように、習近平政権は巨大経済圏構想「一帯一路」拡大のために不良債権をため込む。確かに、スリランカのハンバントタ港のように、戦略的な要衝を借金のカタとして分捕るが、同時に焦げ付き債務も背負うことになる。これが増えれば、不良債権に苦しんだソ連と同じ道に踏み込みかねない。
(同上)
ソ連は、それこそ世界中を支援していたのですね。東欧、中東、アフリカ、東アジア、東南アジア、中南米。それに、資本主義国の共産党まで。「世界を共産化する!」なんて決意すると、金がいくらあっても足りません。中国も、「中国の夢」とかいいはじめたので、金がかかります。
というわけで、ペイ教授の説をまとめると、
- 「国有企業に手をつけない」「債務水準が重圧」「急速な高齢化」「貿易戦争」で成長の鈍化は避けられない。
- 軍拡が経済を圧迫する。
- 一帯一路構想で、不良債権が膨らむ。
結局、「経済的に破たんする」という話なのですね。ペイ教授の結論は?
かくて、ペイ教授は「米中冷戦がはじまったばかりだが、中国はすでに敗北の軌道に乗っている」と断定している。
(同上)
同感です。近々訪中される安倍総理。くれぐれも、中国に接近しすぎないようご注意ください。軍事同盟国アメリカから「シンゾーは裏切り者」と思われないように。
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