終身雇用崩壊の日本が、未だ「新卒一斉採用」メインという矛盾

 

そこで、ジュニアのポジションで入るか、あるいは、アルバイトでも派遣でもいいから経験を積むことです。それでしばらく頑張れば、「私はこれとこれができます。これとこれをやってこのような実績を残しました」と履歴書に書くことができます。それにマッチする求人があって採用されれば、正社員になれるわけです。大事なのは何をしてきたか」であって、雇用形態ではありません。

たまたま新卒時に不景気でいい仕事がなくても、しばらくできることをやったり、勉強を続けたりして努力していれば必ず挽回のチャンスがある、そういう社会であるべきではありませんか?ボランティアの経験だって評価されるべきです。

それに、社会人生活をしばらくしてから、「ああ、やっぱり自分はお菓子職人になりたいなあ」とか「やっぱり看護婦になりたい」「経理関係の資格が欲しいなあ」とか思ったら、専門学校に行ったり、大学や大学院に戻ったりして、人生をやり直すのもいいでしょう。

やがて結婚しても、旦那が家に入って、奥さんが外でバリバリ稼いでもいいし。人それぞれの生き方をすればいい。つまり、豊かな社会って、物質的な豊かさとは別に、「選択肢が多いやり直しができる社会」じゃないかって思うわけです。もちろん、本人にやる気があることが大前提ですが。

東西冷戦という「ある意味の安定期」が終わって以来、世界の変化の目まぐるしさは半端ないです。その世界の変化に背を向けて、「新卒じゃないと不利、場合によっては1年留年して新卒カードを切る」なんて発想自体が馬鹿げているとしか私には見えません。それに、どんな場合でもブラックはダメです。ダメなものはダメ。

オーストラリアで、人々が何となく楽観的で楽しそうなのは、人生の選択肢に幅があって、社会保障のセイフティネットがしっかりしているから、という側面があると思うのです。日本も「豊かさの定義」を根本的に考え直すべき時ではないでしょうか?

(山岡鉄秀:Twitter:https://twitter.com/jcn92977110

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