自然に手伝い、家族が支えあっていく“参加型”のリビングダイニングの魅力は、子育て世代のファミリー層だけではなく、シニア世代にもメリットがあります。定年を迎えるまで家事は一切、奥さん任せだった場合、最初のうちは「そこにある調理家電」に触れやすい環境を作ることから始めるとして、次のステップでは、興味のある調理家電の「担当」になってもらうのです。
男性はおいしいごはんへの熱意が人一倍強いようですので、いわゆる“高級炊飯器”を自分で選んで購入してもらい、「ごはんの担当」になってもらうのもいいでしょう。やがてはお米にこだわり、精米機に興味を持ち、さまざまな炊き分けに挑戦するなど、おいしいごはんを追求していくことがきっかけで、次は違う家電や料理にも興味を持つかもしれません。パン好きの人ならトースター、健康志向の人ならジューサーなど選ぶところから、使ったりお手入れするところまで、責任を持ってやってもらえるようになれば会話も弾み、家事への参加もスムーズになることでしょう。
調理家電から始まり、続いて洗濯機や掃除機など、“モノ”選びへの興味関心から、その先の家事(コト)へとつなげ、自然な形で参加してもらえるような流れを作る──。魅力ある家電が増えている今だからこそ、こんな関わり方もいいのではと思います。そして視点を変えたこれらの提案は、きっと新たなモノづくりにも波及するに違いありません。 (神原 サリー)
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