映画野郎による2018年公開の映画「年間ベストテン」一挙発表!

 

以下、友情出演者によるアンケート回答をご紹介します(到着順)。

照テル子の2018年ベスト10

1位:ボヘミアン・ラプソディ
2位:ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
3位:search/サーチ
4位:恋は雨上がりのように
5位:キングスマン:ゴールデン・サークル
6位:ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル 
7位:カメラを止めるな!
8位:デッドプール2
9位:アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
10位:ウインド・リバー

■総評:

1位→Queenとボーカルのフレディの伝記映画です。Queen結成の流れやフレディの孤独と愛に気持ちが揺すぶられ、内容が濃く、実にシンプルに感情に訴えてくる映画でした。曲もほとんど聴いた事のある曲で、改めてQueenのパフォーマンス力に感服。ラストのライブエイドは圧巻で涙が止まりません。

2位→奥さんに家族、秘書や市民がいろんな戦い方で戦争に立ち向かっていました。特にチャーチルと市民の交流には涙なしには見れなかったし、演説も胸に響いてまた号泣です。チャーチルの信念のある孤独な戦いをしっかり見届ける事が出来ました。素晴らしい映画でした。

3位→娘が突然失踪。父親はネットで娘の友人関係を探り居所を必死で探す。とにかくネットの使い方、撮影の仕方が完全にアイデア勝ち。こんなサスペンス映画観たことない!本当に面白かった!娘が中々見つからず焦る父親の追い込まれ方も緊迫感が出て手に汗握りました。家族映画としてもホロリと出来ます。

4位→神がかってたキャスティングに驚きでした。原作から抜き出たよう! 店長視点で観るかあきら視点で観るかで映画の見方が変わる気がします。現実的な部分をグサリと刺してくるので夢のような恋愛映画とは一味違うところも◎。言葉が生きてました。ラストのあきらの涙の意味は人によって解釈が違うかも。

5位→とにかく最高のエンタメ映画です。音楽の使い方アクションの盛り込み方グロテスクさ、マシューボーンの独特の世界観が存分に発揮されていてとても感動しました。ただやはり続編なだけあり、前作を鑑賞していないと置いていかれる感はあります。一作目から鑑賞をお勧めします。

6位→とても面白くすごく笑えます! 多数のキャラクターがいるにも関わらず、それぞれの得意なものや弱点設定もしっかり練られていて分かりやすいのが良かったです。笑いだけではなく友情、青春ものでもあります。前半、気持ちがバラバラなメンバーが最後には全員で団結して冒険していく様は感動です!

7位→頭からの映像が、個人的にカメラワークのせいですごく酔いそうになって辛くなっていましたが、それが終わるとすべての違和感という違和感をすべて回収。こんなにすっきりして笑える映画があるのでしょうか。実に見事な作品でした! ポン!!

8位→最高!圧巻!お決まりの下品なブラックジョークが炸裂し、馴染みのキャラもグレードアップしながら新キャラもグイグイ物語に引き込んで楽しませてくれました!X-MENネタや映画ネタも盛り沢山。とにかく笑いが絶えず、時には涙もするような楽しい映画でした。何度でも観たい。

9位→頭5分で衝撃を受ける。それからずっと衝撃受けっぱなし。息が止まるほどの衝撃。marvel映画大好きな人なら、まず間違いなく観終わった後しばらく放心して動けません。今まで観続けてきた結果がこれなのかと!心構えしていかないと心が崩壊します。主役はサノスです。

10位→内容はネイティブアメリカンのレイプや殺人など実話に基づく話でしたが、役者や監督が本を理解してるのか映像が素晴らしく、何を考えているのか、どうして行動しているのかがしっかり伝わって来ました。役者の読解力と表現力があればどんな映画も理解出来るかもしれない!と思えた良き映画でした。

◇照テル子(テル・テルコ) (元吹替声優、元舞台役者、常に映画館にいたい主婦、映画観ると幸せになれる人)
声優になる為上京し、映画の吹替等や舞台を経験。結婚と病気を機に事務所を退所し、趣味の映画を楽しみながら主婦活動に勤しむ。Teruko teruでインスタ中。たまに声優復帰もしたりする。
【告知・宣伝】[映画吹替]Blu-ray『メル・ギブソン ハムレット』(ガートルード役)、『ダラス・バイヤーズクラブ』(フラヅィン役)、『ボビーとゴーストハンター,そして謎の幽霊船』(ベルナデッド)等

大山孝彦の2018年ベスト10

1位:シェイプ・オブ・ウォーター
2位:スリー・ビルボード
3位:悪女/AKUJO
4位:パンク侍、斬られて候
5位:1987、ある闘いの真実
6位:ボヘミアン・ラプソディ
7位:孤狼の血
8位:恋愛依存症の女
9位:カメラを止めるな!
10位:志乃ちゃんは自分の名前が言えない

■総評:

東京のシネマdeりんりんという映画サークルで出会った原口氏、小川氏にベストテンに参加しませんか? って誘われ、お二方には感謝申し上げます。

かなりの田舎者であるゆえに、皆さんよりは映画を観ていないかと思います。映画は映画館で。ってのがモットーなので(DVDで映画観ても年に1本くらい)ありきたりの映画ばかりですみません。

今年の映画を漢字一字で表すと「狂」だと思います。

「シェイプ・オブ・ウォーター」の監督の映画狂と映画愛の素敵なコラボレーション。「スリー・ビルボード」のあまりに正常に見える狂った日常。「悪女」の殺しぶり、殺し過ぎ、狂ったカーアクション。「パンク侍、斬られて候」は最初に原作者を斬る所から終わりまでずーっと狂いっぱなし!往年の石井監督復活??

と、狂った映画を並べてみました。ただ、そんな狂気を求めて私たちは映画館に足を運んでいることも忘れてはいけないと思います。
「カメラを止めるな!」は日本中が狂った話題というか現象でした。

「アイ・トーニャ」「バーフバリ・王の凱旋」「レディ・プレイヤー1」「ガチ星」「止められるか、俺たちを」あたりが選に漏れました。

たぶん来年公開の映画でおすすめ映画を1本紹介します。片嶋一貴監督作品「M 村西とおる 狂熱の日々」、村西とおる氏の映画造りの熱さが直に伝わるドキュメンタリーです。

◇大山孝彦 (青森市内の公務員)
1965年生まれ、青森市在住。「あおもり映画祭」(2010年終了)でスタッフを20年続ける。現在は大館市の御成座という映画館を年に1、2回貸切にして、映画祭や自主興業をスタッフ1人でやってます。映画祭運営にはちょっとうるさい(笑)名刺の肩書は「只の映画好き!」

岩田康平の2018年ベスト10

1位:ブリグズビー・ベア
2位:止められるか、俺たちを
3位:レディ・プレイヤー1
4位:ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ
5位:タクシー運転手 ~約束は海を越えて~
6位:スリー・ビルボード
7位:ウインド・リバー
8位:孤狼の血
9位: アンダー・ザ・シルバーレイク
10位:祈りの幕が下りる時

■総評:

総鑑賞数130本。「好き」を中心に選びました。

1位:自分が恥ずかしくなった。自分の好きなものを愛おしいと思いつづけるジェームズに。何かに熱中するということが私の中にもあったはずなのに、色んな刺激を受け右往左往しているうちに28歳を迎え、「好き」という感覚が麻痺してしまい。だからこそ、本作のジェームズが抑圧された環境の中で同じTV(誘拐した父が作った教育番組の「ブリグズビー・ベア」)を見つづけ、それを「好き」になり、「好き」をしゃぶりつくしたからこそたどり着いた境地。

「好き」は掘り下げていくものと今年とある映画ライターさんに言われたけど、まさにジェームズのことだなと。憧れの人・ジェームズとして、僕の生きる指標になるような感じがした。世に言う「落ち込んだりした時に元気にしてくれる映画」のような言い方はあまり好きではないけれど、僕にとって「落ち込んだりした時に、自分の膿を出してくれる心を綺麗にしてくれるデトックス映画」としてこれからも観続けると思う。

2位:「他人の評価なんてどうでもいい」というのが『ブリグズビー・ベア』だとしたら、「認められたい人から認められたいのに」映画。フィクションを作る苦しさを地獄の部分まで描く、なんだか汗臭く、一方でこれが僕にとっての青春映画だなとも思う。

もちろん前半の若松孝二コメディ劇場も面白かったが、中盤、めぐみが助監督から監督になるため、脚本を書き、見よう見まねで演出をし、そして、偉大な師匠に見てもらうという場面。『ブリグズビー・ベア』のラストのリアルを描くような雰囲気。そのあとの展開も「女性監督」というテーマも入ってきてもちろん理解できたとはいえないが、これもまた青春なんだと思う。

3位:何も考えず面白かったし、ワクワク感もあったし、個人的に地獄のようにつらいゴールデンウィーク中に仕事をした中で、新しい自分になれるみたいな世界の話を観させられたら、そりゃ泣くだろ。現実にしか学べないことも多いけど、現実逃避によっても学ぶことは多いと思うから、結末云々は言いたいことはあるけど、まあ楽しかった。

4位:『8年越しの花嫁』が描かなかった、結婚とは「自分への理解と妥協」という個人的にビンビンテーマが伝わってきた。あと、ゾーイ・カザン久しぶりに見たけど可愛かったな……

5位:歴史的な史実をここまで感動系のエンタメ作品とする韓国映画界の凄さと、ソン・ガンホを突き動かすオニギリの伏線というか熱いベタさ。二枚目路線から還ってきた感がある、俺のガンホ映画だったが、笑うし、泣くし、ムーっとするし、かわいいしと、なんだかアイドル路線にむかってるのかな……

6位:「業の肯定」話というか、人が人を許すというか。「怒りが怒りを来す」とギャルが言っていたがじゃあその許しをどう見つけ出すのか。答えのない問いで、だからこそ全員そこにいる生きた人間を描けているし、物語をまとめる脚本の妙。凄い!

7位:これも「怒りが怒りを来す」系で、それぞれの業、救いようのない過ちをどう向き合うのかを描いている。こちらの方が西部劇のような一種のエンタメ性、カタルシスを生む瞬間がわかりやすくある。

8位:松坂桃李の振り回されっぷりと、役所広司の「ヤバい」感じ。銀座シネパトスで観たよくわからないヤバさを、シネコンで観る快感というか、観てはいけないものを観てしまった感。ヤクザものを「売れる」方向性に持ってきた東映さんの底力も感じる。

9位:物語の中心はよくわからないけど、あの陰謀論というワクワク感。映画偏差値高いような高くないような感じも、個人的なボンクラ心にはドンプシャ。あとパンフレットに関して、物語を六日に分けてまとめられたキーワード集は映画の補完にうってつけでした。今年no.1パンフ。

10位:現代版『砂の器』。原発ジプシーというテーマをエンタメ映画としてヒットさせる東宝さんの凄さと熱量を感じた。

◇岩田康平 (某映画会社社員)
1990年生まれ。映画学校で脚本を学び、卒業後は映画会社に就職。パンフレットの営業仕事を経て、現在編集を手掛ける。11月「映画パンフは宇宙だ!」にスタッフとして参加。落合博満と映画に関する仕事をするのが今の夢。

大泉りかの2018年ベスト10

1位:レディ・バード
2位:世界で一番ゴッホを描いた男
3位:母という名の女
4位:女と男の観覧車
5位:フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法
6位:万引き家族
7位:女は二度決断する
8位:シェイプ・オブ・ウォーター
9位:スリー・ビルボード
10位:アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

■総評:

毎年マイランキング上位には、女の性(さが)や、女ならではの困難を描いた作品がランクインしがちですが、今回も1位は、田舎町の住む自意識高めの少女が、自立の第一歩を踏み出す『レディ・バード』、そして3位は女の支配欲をえげつなく描いた『母という名の女』でした。しかし2位は珍しく、男性が主人公の、しかもドキュメンタリー『世界で一番ゴッホを描いた男』でした。「芸術家とは」「職人とは」「本物の芸術とは」とたくさんの問いを与えてくれる上に、中国深センのド酷い街の様子も、一見の価値があります。

4位はウディ・アレン監督作品『女と男の観覧車』。ウディ・アレンは女性蔑視が酷すぎて苦手なんですが、若い男に入れあげて嫉妬で狂い壊れていく不倫妻の物語は、胸糞悪いながらも、ものすごく面白かったです(でもやっぱりウディ・アレンは嫌い)。『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』『万引き家族』はそれぞれ主演女優がものすごく素晴らしく、テーマも今の世の中に必要とされているものだと思います。

韓国映画が一本も入らなかったことに、自分でもちょっと驚きですが、来年も引き続き、いろんな映画を観ていきたいと思います。

◇大泉りか (作家、コラムニスト)
ライトノベルと官能小説、セックスと女の生き方を扱ったコラムを手掛けてます。趣味は飲酒と世界のエロスポめぐり。犬飼い。2017年1月生まれの息子がいます。
【告知・宣伝】 ツイッターやってます @ame_rika

白石映子の2018年ベスト10

1位:ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
2位:レディ・プレイヤー1
3位:シェイプ・オブ・ウォーター
4位:ボヘミアン・ラプソディ
5位:僕の帰る場所
6位:万引き家族
7位:母さんがどんなに僕を嫌いでも
8位:犬猿
9位:search/サーチ
10位:カメラを止めるな!

■総評:

選び終えたらスピルバーグ監督のが2本並んでいました!1位/ぶ厚い文書、活字を組んだ新聞の時代に、こんな気骨のある記者たちがいました。今の日本の政治と報道は?と振り返って気落ち。とにかく選挙権を行使しようよ。2位/80年代が懐かしく、キャラ満載のゲームも楽しい。3位/ロマンチックな異種婚姻譚。4位/バンド映画としてぐっときました。クイーンに特に思い入れがないので、事実と違っててもOK。9、10位はアイディアとストーリー!

邦画5本は全て家族の話になりました。移民、虐待、いじめ、家族のあつれき……。アニメは『シュガー・ラッシュ オンライン』おすすめ。

2018年の鑑賞本数は約400本でした(見逃したのを埋め合わせたDVD除く)。来年も心震える映画に出会えますように。

◇白石映子 (シネマジャーナルスタッフ)
・シネマジャーナルHP⇒http://www.cinemajournal.net/

どのレビュアーも、大量の視聴本数にまず驚かされます!そしてコメントからは、映画への熱い熱い愛情が伝わってきます。興味を持った作品があればぜひ週末にチェックしてみてください。なお、このベストテンアンケートの続きはメールマガジン内で発表されます。

image by: こんせ [CC BY-SA 4.0], from Wikimedia Commons

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