心理学者が解説。ディズニーランドに行くと元気になる明確な理由

 

ところが、狭い洞窟を抜けて広い空間に出ると、急に全てがにぎやかになります。生命にあふれた復活の空間が現れるのです。海賊たちはよみがえり、船に乗って大砲を撃ち合い、街を襲っては金品を略奪し、美女を追いかけ、酒を飲み、乱痴気騒ぎを演じています。死から再生への転換が見事に行われるのです。

同様に、一見、ただの観光列車のように見える「ウエスタンリバー鉄道」に乗っても、私たちは「よみがえり」を体験することになります。もっとも、このアトラクションでよみがえるのは人間ではなく恐竜ですが…。

列車がビッグサンダーマウンテンを通過するときアナウンスが流れ、遥か昔、アメリカ大陸には巨大な恐竜が生きていたが、今は化石となってこの山に眠っている、ということを知らされます。案内に従って左手を見ると、確かに、山の中から突き出た恐竜の骨が見えるではありませんか。そしてその後、列車がトンネルに入って行くと、不思議なタイムスリップが起こり、私たちの目の前に「生きた」恐竜が現れます。大地の子宮の中で恐竜たちは再生するのです。

その他のアトラクションなどにも、この「死と再生」というテーマは繰り返し現れます。皆さんも探してみてください。 大切なのは、お客さんたちが無意識のうちにこの「死と再生」という暗示(それとなく伝えられる心理的な手掛かり)を受け入れてしまうということなのです。お客さんが死と再生の神話に共鳴した結果、生まれ変わりの疑似体験は共有され、お客さん自身までもが生き返ったかのように精神をリフレッシュして元気になり、幸せな気分を満喫するのです。

確かに、合理主義と科学(ときには唯物論までも)を信仰する現代人は「意識のレベルでは」輪廻転生など信じていないでしょう。しかし、そんな現代人でも心の深い層、意識の光が届かない原初的な精神領域では、どこかで輪廻転生や魔法の力を信じたがっているのです。どんな大人でも、その心の底には無邪気な子供が生き続けています。ディズニーランドの成功は、これを証明しています。

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