現役アナが解説。珍しい経験をしても面白く話せないのはなぜか?

 

それ、知ってる。行ったことある。そこ止まりの話は、聞く人にとっては意外にやっかいです。まず第一に、単なる自慢と受け取られかねない。自慢話にしないためには、何らかの「話の切り口」が必要です。
第二に、他の人の話を阻害する可能性があること。知っている人を前にしては、他の人は話しにくいですよね。
第三に、聞く人がインタビュアー役をやらされる恐れがあること。持論はないけど、聞かれれば答えられる状態は、相手に質問してもらわないと話せない状態でもあります。めんどくさい人ですね。

その点、感情との紐づけ状態でアーカイブされている人は、もう話す準備が整っているのです。だから、よくできた話をアドリブで話せるわけですが、これは話している最中の頭の使い方の問題ではなく、情報のまとめ方、保存法という点で、話す準備が一歩先を行っているのだ、という点を、誤解しないようにしなくてはなりません。

そしてここでご紹介している「持論の準備」も、それにおける大事なポイントは?という切り口を経験と一緒に紐づけておくことで、自分アーカイブ=ネタ化された話の引き出しを整えよう、ということです。

簡単な例でいうと、本を読んだ経験に、そのポイントは?を紐づけておくと、本を紹介するネタとして話しやすい、ということです。

雑談がラクになる簡単会話術

ちなみに念のため、ですが、持論を展開するとか窮屈な話ではなく、それ知ってる、行ったことある、だけの状態で、気楽に話に参加する方法もあります。それは、他の話し手の話に乗っかるという方法です。

実はこれに慣れると会話、雑談がすごくラクチンで、自らはほとんど思考停止してしまうほど。会話が辛い人、雑談力を高めたいと思いながら踏み込めない方の取っ掛かりにはいいと思います。

コツは、会話の中で自分が知っている話題について、「そうそう」「私も!」と自分もそれについて経験知識があることを表明した後は、ねー。そう。いいよね。それ言える。好きー…etc.。順接の相槌を入れて、にこにこ笑顔で、うんうんうなづいて、あとは聞くだけ。

真の実力は、会話以外で発揮すればいいのですから、会話で侮られまい、と考えすぎて、無駄な話ができなくなってしまうのも、マイナスだと思います。「私も知ってる」と言うのは、経験知識を共有していることであり、肯定的に話を聞くのは、価値観を同じくしている、ということになります。

会話でリラックスしたいのに、なかなかうまく話せない方におすすめ。ムスッとして黙っているよりは、こちらのほうが断然、好感が持たれるはずですよ。

image by: Dmytro Zinkevych, shutterstock.com

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アナウンサー歴30年、極限の環境で話し続ける著者が、実体験から会得した「話し方のコツ」を理論化。人前で話す必要がある人の「もっと〇〇したい」に、お答えしています。一般的な「話し方本」には無い情報満載。

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