現役アナが解説。珍しい経験をしても面白く話せないのはなぜか?

 

体験や事実を話の引き出しから取り出しやすく整理する

話題豊富で雄弁な人のことを「話の引き出し」が多い人、などと表現することもありますが、この表現で注意しなくてはいけないのは、引き出しの中にしまってある、情報の状態です。

いい経験はしているのに面白く話せない人は、引き出しにしまってある情報が、持論の形でまとめられていないのではないでしょうか?当メルマガの以前の記事でも、脳内に「自分アーカイブ」を作ることで、話が芋づる式につながる話し方について解説したことがありました。

このときの「自分アーカイブ」は、情報を感情と紐づけしておくこと、でしたね。あれこれ見聞きしたという体験や事実は、どう感じた、という感情と一緒にまとめておかないと、必ず風化してしまうのです。経験した事実自体は変わらなくても、どうだった、という印象は、薄れていくものです。

なおかつ、感情と紐づけておくことで、引き出しから取り出しやすくなります。つまり、披露する準備ができている=「持ちネタ」になっている、ということです。

ごく簡単な例でいうと、遊園地に行った、という事実だけでなく、家族で過ごして最高に楽しかった、というような感情と合わせて記憶しておくことで、家族で過ごした経験を語るときに、このエピソードが素早く引き出せるようになるわけです。逆に感情と紐づいていないと、「遊園地…。あぁーそこ、行ったことあるー」など、経験した事実の話ぐらいしかできないわけですね。

ここでは具体例が遊園地ですので、いかにも些末な、取るに足らないことのように聞こえますけど、「あー、それ知ってる」「行ったことある」だけで終わってしまう話、ありがちですよね。物足りないと思いませんか?ネタになってませんよね。

そういう話し手は、そもそも経験を記憶にとどめる回路がそうなっている=経験をネタ化して引き出しにしまっていないので、話すことのほとんどが、そこ止まりになってしまうのです。「そういえばあんなことがあったなぁ」なんて後から思い出すことはできるでしょうが、初めから経験談として語りだすには、いささか心もとないですよね。

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