親しまれているから、愛称で呼ばれる。京都にわら天神様を訪ねて

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名前というのは不思議なもので、「敷地神社」の正式名称ではそっけない場所に感じてしまうのに、「わら天神」との愛称を聞いただけでグッと親近感が湧いてくるもの。今回の無料メルマガ『おもしろい京都案内』では著者の英 学(はなぶさ がく)さんが、安産だけでなく子授け・縁結び・子供の成長などさまざまなご利益も評判の「わら天神」について、その魅力を余すところなく紹介しています。

わら天神

先日16社御朱印巡りで西大路通り沿いにある敷地神社を訪れました。敷地神社は、京福電車の北野白梅町駅から北に10分ほど真っ直ぐ西大路通りを北に歩いた道沿い左側(西側)に建っています。市バスだとわら天神前で下車してすぐです

鳥居は西大路通りに面し東向きに立っています。鳥居をくぐって参道を右に曲がると2つ目の鳥居があります。正面にはこぢんまりとした境内が広がります。整然としていて清々しい気持ちにさせられます。とても解放感があります。参拝者もまばらで静寂な空気が流れています

かつては北山にあったようですが、室町幕府3代将軍足利義満の北山第を造営した際に現在地に移されたようです。祭神は木花開耶姫命このはなさくやひめのみこと)です。日本神話に出て来る女神の1人です。アマテラスの孫・ニニギノミコトの妻で、オオヤマツミの娘です。

古来より稲わらで編んだかごに神饌を入れて神さまに捧げていたことの名残が今も残っています。昔はこの稲のわらを女性が持ち帰り安産を願ったそうです。やがて、その稲わらを安産のお守りとして授与するようになったことから、「わら天神」と呼ばれるようになりました。地元では敷地神社というより「わら天神」として親しまれています(わら天神なら分かるけど敷地神社といってもピンとこないのではないでしょうか)。

ご利益は安産以外に、子授け、縁結び、子供の成長守護など。そのため、神社の御賽銭箱の辺りに沢山の願い事が書かれた沢山のよだれかけが奉納されています。ちなみに妊婦の方はお産が軽い犬に因み、戌の日に参拝する人が多いそうです。

本殿の西側に巨木の幹が祀られています。綾杉明神です樹齢千数百年の綾杉の霊を祀っています。明治29年の暴風で巨木は倒壊し幹だけが残り、その幹に素屋根をかけ綾杉明神として祀ったそうです。

ちなみに綾杉明神の後ろに建つ末社は、大山祇神社(おおやまつみじんじゃ)です。祭神・木花開耶姫命のお父さんです。海上守護、農業守護、高山守護のご利益を授けてくれます。神様の家系図が何となく理解しているだけでも神社巡りはより一層楽しいものになりますよ。

京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: 京都フリー写真素材

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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