本当は恐ろしい「子無し夫婦」の相続。親兄弟に取られる可能性も

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「遺産相続を巡るいざこざなど自分とは無関係の話」と思っている方、そうとばかりも言っていられないようです。特に子供がいない夫婦は注意が必要、とするのは、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。大村さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』でその理由を明らかにするとともに、「子無し夫婦」における遺言書の必要性と「夫婦間の生前分与」の有用性を記しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年2月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

実は恐ろしい“子無し夫婦”の相続

最近は、結婚をしても子供をつくらない夫婦も増えています。また、子供が欲しくても出来ないという夫婦もたくさんおられます。相続においてこの子供のいない夫婦特に注意を要します。というのも、子供が一人でもいれば、相続は、夫婦と子供だけの間で収まりますが、子供がいなければ、相続は両親や兄弟にまで法定相続人の範囲が広がってしまうのです。法定相続人というのは法律で「遺産をもらう権利」が保証されている人たちです。つまり、子供がいない夫婦の場合、夫婦のどちらかが死んだときに夫婦の財産親や兄弟が遺産として請求できるようになるのです。

「自分は資産を持っていないから大丈夫」などと思っていたりすれば、大変なことになります。遺産相続というのは、別に資産家だけに発生するものではありません。ほんの小さな家、ほんのわずかな預貯金も、法律的には「遺産」とみなされます。だから、小さな家につつましく暮らしていた夫婦の一方が突然死んだ場合、その夫婦の家やわずかな預貯金が相手の親や兄弟に取られてしまうこともあるのです。恐ろしいでしょう?

普通は、親や兄弟に相続が発生することはありません。親や兄弟といっても、別の世帯なわけですし、昨今では金銭的な世話などもほとんどないものです。しかし、夫婦に子供がいない場合は、夫婦のどちらかが死んだとき、親や兄弟にまで相続の権利が発生するのです。夫婦の財産は、夫婦で築き上げたものであり、夫婦と子供以外の者がそれをもらう権利はないはずです。しかし、現在の民法では、夫婦に子供がいない場合は夫婦の両親にも相続権が発生し、両親が死亡している場合は、夫婦の兄弟に相続権が発生するのです。

この民法の規定は、明治時代につくられたものです。まだ兄弟間で、経済的な結びつきが強かった時代の法律なのです。戦前は、兄が弟妹などの経済的な面倒を見るのは当たり前でしたし、兄弟間で経済的な結びつきがあるのは普通のことでした。だから、兄弟間で相続権があってもおかしくはないでしょう。

が、現代は、兄弟間で経済的な結びつきがあることは非常に稀ですし、結婚してからはまったく別世帯になっていることがほとんどです。にもかかわらず、「兄弟間の相続権」というのが、そのままになっているのです。子供がいない夫婦ならば、相続権は配偶者のみにしておけばいいものです。しかし、民法は明治時代からあまり大きく変えられておらず、時代にそぐえていない部分が多々あるのです。そして、相続税法でも、民法に基づいて法定相続人が設定されています。だから、兄弟側から見れば相続権はまっとうな権利」のように見えてしまうのです。

仲のいい兄弟であれば、相続権を主張したりしないことも多いでしょう。が、あまり仲がよくなかったり疎遠だった兄弟ほど相続権を主張することが多いのです。兄弟側から見れば、この相続権というのは、「棚からボタモチ」のものです。兄弟間で何の金銭的な援助などをしていなくても、相続の権利が発生するのです。つまり、何にもしていないのに、金銭的な恩恵を得る可能性がでてくるわけです。

人というのは、弱いもので、そういう利権については思わず飛びついてしまうのです。だから、ほんの小さな一軒家でつつましやかに生活していた夫婦が、子供がいないばかりに、夫が死んだときに夫の兄弟に相続権が発生し、夫の兄弟から家の権利4分の1分のお金をよこせと言われるようなケースはけっこうあるのです。

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