スーパー不振の中、「成城石井」が絶好調であり続ける納得の理由

2019.02.18
sdr
 

大きなバックヤードなんていらない。必要な分だけその日に届く仕組みづくり

このように変幻自在に出店できるのは、バックの物流、倉庫がしっかり構築されているからだ。

成城石井は直輸入を手掛けてきたため、商品を売り切る体質が染みついている。その体質を基盤に、商品を保管する物流センターから、コンビニのように商品を店舗に小分けして送る仕組みができているのだ。2012年に3ヶ所に分散していた物流センターを、神奈川県寒川町に集約して、より効果を発揮するようになった。

寒川の物流センター

寒川の物流センター

通常のスーパーなら、段ボールのまま商品が店舗に送られるので、どうしても店舗の側で大きなバックヤードを持たなければならなくなる。そうなると、駅ナカのような家賃の高い条件では採算が合わず出店できないのである。要は在庫を収納するスペースに、家賃はかけられない。

通常のスーパーは商品がなくなれば奥の倉庫から品出しして並べるが、成城石井の場合はその日必要な分だけ店に届くので、それを並べていけばいいということになる。

成城石井の倉庫は4つの温度帯を持っており、常温、定温・定湿、チルド、冷凍と分けられる。特に重要なのは、他の流通ではあまり聞かない定温・定湿である。

フランスからワインを直輸入する場合、船で輸送していると、赤道を通る時にどうしても鉄のコンテナの室温が上がって熟成が進んで味が変わってしまう。熟成し過ぎないように、リーファーという特殊な温度管理された冷凍・冷蔵貨物用のコンテナを使うのだが、日本も最近は夏に高温かつ多湿になることが多く、現地の品質そのままで提供するには定温・定湿庫が必要なのである。定温・定湿庫では最適なエイジングまでを行う。

定温定湿ワイン倉庫

定温・定湿ワイン倉庫

ワインばかりでなく、チョコレート、バターの含有量の高いクッキーなどにも使う。

定温・定湿庫が他になかったので、日立物流に依頼してわざわざ造ってもらったとのことだ。せっかくリーファーを使って輸入しても、日本に着いてからの保管が疎かになっていては、意味がないと言わざるを得ない。

ワインに関しては、ホテル、レストラン、他のスーパーへの卸売も行っており、一緒に買い付けてスケールメリットが出ることによって、良いワインをリーズナブルに販売できる体制が整った。

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