スーパー不振の中、「成城石井」が絶好調であり続ける納得の理由

2019.02.18
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成城石井「駅ナカスーパーの元祖」説、6割が「駅」にアリ

成城石井の店舗の立地の特徴として、顧客の動線を意識した店舗開発が挙げられる。

1997年開店・アトレ恵比寿(エキナカ)

1997年に開店したアトレ恵比寿店(エキナカ)

駅ビル、駅ナカに多く、場合によっては改札口の中にまで店舗があり、買物に行く時間のない顧客にとって身近なスーパーになっている。駅ビル、駅ナカの比率は、なんと全体の6割を占めている。1997年から進出しており、“駅ナカスーパーの元祖”との説もある。

「路面店であっても、駅から歩いて5分以内につくるとか、街道沿いに設置して車の利便性が高いといったように、考えて出してきました。駅によって、お客様の特性も違いますのでフレキシブルに品揃えも変えます」(五十嵐氏)。

店ごとの商品のセレクトの仕方も独特なノウハウがあり、まずは同社のお勧めの品を並べてみる。そこで顧客の反応を見て、売れる、売れないを判断して即座に入れ替える。その街、その駅に適した商品を並べられる柔軟性と経験値を持っている。

文で書くと簡単なことのように思えてしまうが、なかなかできることではない。誰でもできるならそもそもスーパー不振など起こらないのだ。

ワインに絶対的な自信を持つ成城石井だが、近くに強力な酒屋がある場合には、あえてお酒を置かない店もある。ビルにダクトが引けるかどうかで、内製の惣菜を行うかどうかも選択ができる。店づくりに対して、こうでなければ出店しないというフォーマットを有しておらず、変幻自在、どこにでも出せる強みがある。各部門で専門店のレベルを目指しているため、お酒、惣菜、お菓子、グロサリーなど、どこで切り分けても高いパフォーマンスを示せると、五十嵐氏は胸を張る。

店舗の面積も、最小なら7.4坪から最大は200坪まで、さまざまな規模の店がある。

7.4坪のセレクト名古屋駅太閣口店は、キヨスクほどの大きさに2,600ものアイテムが品揃えされており、大型のスーパーでも3000~4000アイテムがあれば平均的と言われるところからも、コンパクトで充実した内容となっている。

最大の店はグローサラントと呼ばれるレストラン併設型の店舗で、京王線調布駅ビルにあるトリエ京王調布店。

トリエ京王調布店(グローサラント)レストラン側外観

グローサラントを提案するトリエ京王調布店

2013年に「Le Bar a Vin 52」というワインバーを出店し、今は東京都と神奈川県に計6店あるが、成城石井の商品に触れてもらって、気に入ればスーパーで買ってもらうという提案を行っていた。

Le Bar a Vin 52(ワインバー)内観

Le Bar a Vin 52(ワインバー)内観

トリエ京王調布店ではさらに進んで、レストランではお店で販売している食材によってメニューの9割を調達。ハンバーガーをレストランで売ったところ、他店ではほとんど売れないバンズが、トリエ調布店に限っては1ヶ月で600セット(1セット3食分)が出るヒット商品になる、相乗効果が表れている。実際に食べてみた人からの反響は絶大だ。

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グローサラントのレストランで提供されているハンバーガー「フレッシュアボカドチーズバーガー」

高速道路のサービスエリアや、デパ地下にグロサリーストアとして出店してほしいという要請も多い。サービスエリアだと当然お酒は置けないが、最近は一般道からも買物で入れるようになっており、地域の顧客を集めることもできる。デパ地下では、生鮮の専門店が別途出ているので、特に地方で、販売不振の店から切り替わって入居するケースが増えた。

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