まず、何と言っても1990年代以降の日本経済が低迷する中で、営業などの各企業の現場は、ビジネスの衰退を食い止めるために必死の活動をしており、その結果として「とにかく取引先の好感を得るためには何でも」という思いが、このような行動になっているということがあります。私は、「謎ルール」には反対ですが、このような事情があるケースについては、批判するのは失礼とも思います。
それとは別に、「謎ルール」が暴走する背景には、運動部気質とか、パワハラ体質といった悪しきカルチャーの影響もあるようです。これはとにかく、社会が厳しく監視して、そのような謎ルールを強制すること自体がパワハラであり、コンプラ違反の温床だということを口を酸っぱくして言い続けないといけません。
もう一つ考えられるのは、「マナー講師」という職業の流行です。こうした「外部講師」について言えば、サービスを依頼しているのは「悩んでいる若手」ではなく、「若手を教育したい人事部や経営陣」ですから、とにかく「できるだけ丁寧に」という姿勢になります。その結果として、「謎ルール」を抑制するのではなく、「こうしたマナーはご存知ですか?」的なアプローチで、反対に暴走させる傾向があると思います。
本来は、経営者や管理職の研修の際に、「謎ルール」などを使って権力行使をするのは、グローバルな常識からは「アウト」だということを訴えていく、それが「マナー講師」の本来の姿ではないでしょうか。
とにかく、このような「謎ルールの横行」は、流行現象とか流行語と違って簡単に受け入れるわけには行きません。対応を強いられる人々のストレスは猛烈だし、グローバルなビジネスの常識からは離れて行くし、パワハラやコンプラ違反の温床になるからです。
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