稲盛和夫も実践。仏教徒でなくても心に留めるべき「釈迦の説法」

 

この利他の心の対極にあるのは、利己の心です。自分だけよければいい、という心です。このような利己の心を離れて、利他の心で人様をよくしてあげようという心で人生を生きていく。それが生きる目的だと私は思っているのですが、実は、これは口で言うほど簡単ではありません。

利他の心を持って人様に美しい思いやりの心で接しようという考えで人生を生きていこうと思えば、まず、現在生きていることに感謝をするという心が起こってこなければいけません。次に、そのような感謝の心が芽生えてきますと、自然と自分自身がどんな環境にあっても幸せだと思える心になっていくはずです。

「いや、私は決して幸せではありません。大変不幸な人生を生きています」

とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、この世の中を見渡せば、そういう方よりももっと不幸な境遇の人もたくさんおられるはずです。そう考えれば、親兄弟が一緒にいられるだけでも幸せではないかという感謝の念が湧いてくるはずです。

つまり、どんな境遇であれ心のあり方によって幸せはそれぞれに感じられるものなのです。そう感じるようになるためにも、まず最初に、現在こうして生きているだけでも幸せだという感謝の念が起こってくることが大事なのです。

そのようにして自分が幸せだと思えるようになってきますと、その次には当然、他の人にも親切にしてあげたいという思いやりの心が生まれてくると思います。またそういう心が起こってこなければいけないのです。

したがって、利他の心を持つためには、まず自分が生きていることへの感謝の心を持たなくてはならないというわけなのです。

(月刊誌『致知』2006年6月号より)

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