将軍も「別格」扱い。京都の紅葉を楽しむなら、南禅寺界隈を散策

 

水路閣

南禅寺の境内にはレンガ造りの疎水橋が天井川として流れています。水路閣は琵琶湖疏水事業の一環として明治21年に建設されました。美しいアーチを描く全長93mの橋は、琵琶湖疏水の設計者の田辺朔郎が設計したものです。琵琶湖疏水事業は京都府知事北垣国道(きたがきくにみち)の発意によって田邉朔郎(たなべさくろう)工学博士を工事担当者として進められました。東京遷都以後廃れてしまった京都に活気を取り戻そうと「百年の計」として工事が着手されたのです。この事業によって日本初の事業用水力発電が開業し京都市内の中心地に路面電車が走るようになり再び活気を取り戻したのです。

禅寺の別格「五山乃上」の寺格を誇る南禅寺の境内に恐れ多くも西洋風のレンガ造りの天井川の橋脚を建てることなど、伝統や格式を重んじる京都の人たちは大反対したことでしょう。でも京都の人はそれと同じぐらい「新しいもの好き」でも有名です。伝統を守り続ける心と新しいものを受け入れる気質が京都が古都であると共に、常に時代の最先端をいく都であり続けたのでしょう。この二つの価値観の共存がなかったら1,000年以上も首都であり続けることは出来なかったのではないでしょうか?アーチ状のレンガ造りの橋は、古代ローマの水道橋が手本になっていて、現在も琵琶湖から水を運ぶ疎水として活躍しています。

南禅寺界隈

境内には南禅院、開山塔の天授庵、塔頭の金地院などがあり、5分ほど歩くと永観堂があります。南禅寺から永観堂に向かい哲学の道を通り、銀閣寺まで歩く南禅寺~銀閣寺コースは季節を問わずおススメですが特に紅葉の時期は最高です。南禅寺、南禅院、天授庵、金地院、すぐ近くの無鄰菴、永観堂、銀閣寺近くの法然院などは特に京都を代表する紅葉の名所です。これほどの場所が徒歩圏内というのはとても贅沢なエリアです。紅葉の時期に京都に訪れた際には絶対に1日はこのエリアに行かれることを強くお勧めします

いかがでしたか?

今回は前の週に龍安寺の石庭を紹介した時に虎の子渡しの庭についてお伝えしたこともあり、小堀遠州作と伝わる虎の子渡しの庭がある南禅寺を取り上げました。また秋になり紅葉シーズンを控えて、紅葉の名所をいくつかご紹介したいという思いもありました。紅葉まではまだ少し時間があるので是非今から計画してみてはいかがでしようか。

image by: 京都フリー写真素材

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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