ZOZOの栄光と失敗。カリスマ・前澤友作氏は何を見誤ったのか?

 

ZOZO離れを食い止めなければ見えぬ未来

さて、Zホールディングスに買収されたZOZOは、事業の再構築を行っていくことになるが、ヤフーは中高年、男性のユーザーが多く、ZOZOの若者、女性に強い顧客層と被らず、シナジー効果が見込めると思われる。中価格帯からハイファッションを中高年に売ることができれば売上は伸びるだろう。

また、今のようなドメスティックなモールから、海外展開へと広げれば、中価格帯を求めている世界のファッション好きの人から支持されるのではないだろうか。そうしたモールの魅力アップで、手数料を取られるくらいなら2割くらい売上が落ちても自社でネット通販をしたほうが利益は増えると、出店するアパレルに思わせないように改善したいところだ。オンワード、ミキハウス、ライトオンなど相次いだ、ZOZO離れを食い止めなければ未来はない

前澤氏は保有するZOZO株の大半を売って約2,400億円を手にしたとされる。株を担保に月旅行や趣味の美術品の購入などのため、前澤氏は多額の借金を重ねており、前澤氏が自ら明かしたところ約600億円になっていたが、ひとまずこれで安心だろう。

米国ではシェアオフィスのWeWorkの上場延期を期に第2次ITバブル崩壊が懸念されている。日本ではZOZOがその引き金を引いた可能性も否定できず、第1次の時の光通信の株価が100分の1ほどにまで暴落したことからも、株価が劇的に上がる見込みがない以上、前澤氏は株を売るしかなかったのだろう。

前澤氏はZOZOの社長を辞任したその日、9月12日に新会社を設立し、社名をスタートトゥデイと名付けた。昨年のZOZOへの社名変更まで名乗っていた旧社名と同じ名だ。まだ、事業内容は未定で、社員も前澤氏1人だそうだが、どんなビジネスを立ち上げるのか、どこまで成長させるのか、楽しみである。

Photo by: Sharaf Maksumov / Shutterstock.com , ZOZOホームページ

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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