安倍政権の八方塞がり。北方領土問題解決も改憲もままならぬ惨状

2019.11.07
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これまでも「プーチン激怒、ブンむくれ金正恩。安倍首相の外交が失敗続きの理由」や「内閣支持率が10ポイント急落。遠のく改憲、近づく安倍政権の終焉」等で、安倍首相の外交面での失策や改憲が無理筋であることを指摘し続けてきた、ジャーナリストの高野孟さん。今回も高野さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、安倍政権の「やっているフリ」外交を具体例を挙げ批判するとともに、首相悲願の改憲を含め、現政権が何一つ「レガシー」を残せぬまま終焉を迎えるであろうとし、その理由を記しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年11月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

安倍政権の行方に灯った「黄信号点滅」──もうどう足掻いてもレガシーは作れない

安倍晋三政権の末期症状を象徴する出来事の1つが、10月27日に挙行された日露共同経済活動の「初のパイロット事業」と位置づけられた「北方領土ツアー」である。

残念極まりない見せかけの「北方領土ツアー」

安倍首相が昨年末から外交上の目玉とすべく取り組んだ「2島返還方式による北方領土交渉打開のシナリオは空振りに終わり、6月の日露首脳会談では日露共同経済活動を進めていくことのみが確認された。共同経済活動と言うからには、シベリアの天然ガス開発など大型案件でも飛び出すのかと思いきや、その最初の事業は、日本から客を募って国後・択捉への観光ツアーを行うことであり、その何が面白いのかと言えば、同じビザなし渡航であっても従来からの「墓参」目的とは違って初めての観光目的だというにある。

ところが、大手の観光業者はどこも乗ってこず、入札を開くこともできないまま、官邸が「ワールド観光サービス」の菊間潤吾会長に泣きついて無理矢理実現した。ツアー代金は34万円で、50人を一般公募でなく同社が「秘境観光ファンを一本釣りした」(月刊誌「選択」11月号情報カプセル欄)というが、実際は北海道職員や運動関係者などを掻き集め、しかもこの料金では採算が合わないため観光庁の予算から穴埋めしなければならないという悪戦苦闘だった。

さらに、悪いことは重なるもので、当初は10月9日から7泊8日で北海道内の観光名所を2日間巡った後、11日に根室を出て国後・択捉を旅し、16日に帰るという日程で組まれたが、ロシア側の技術的事情で延期、改めて10月29日根室発、2日間を国後で過ごしてから11月1日に択捉に渡ったが、悪天候のため2時間居ただけで引き返さざるを得ないという惨憺たる旅となった。かくして「北方領土は後退する一方なのに、交渉が進んでいると国民に錯覚させる官製の『見せ掛けツツアー』」(「選択」)であることが露呈された、お粗末の一席となったのである。

「やっているフリ」で国民を騙し続けられるのか

ここに、物事の本質を掴んで大きな戦略を立て、国会と国民の同意を積極的に求めて世界に向かって正々堂々と交渉を進めていくという本来あるべき政治からは対極にある安倍政治の惨めな姿がある。このことは、本誌は昨年10月から繰り返し指摘し、対ロシアでも対国民でも、安倍首相の北方領土交渉は失敗するに決まっていると分析してきたので、これ以上繰り返さない。

とはいえ、この「やっているフリ」は対露外交だけのことではなく安倍政権の体質そのものであり、いくらマスメディアの協力があるとはいえ、こんなものにいつまでも国民が騙され続けているのか、もうウンザリでどうでもいいやと諦めているのかは判らないが、何のかんのと言って今月20日には桂太郎を超えて歴代首相として最長の在任期間を記録することになる。

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