失われた30年から脱却。日本が再び「国営化」に舵を切るべき理由

 

日本の株価

日経平均株価は、11月26日に年初来高値23,608円になったが、以後米中合意疑念、景気後退などから横ばいで、12月13日に23,354円と、依然強い相場が続いている

海外投資家の買いが優勢で、市場は楽観的な見方であるのは変わらない。PER14倍とNYダウに比べても低いし、追加予算26兆円という景気刺激策が出てくるという期待感もあり、12月9日は、大幅高になると見る。そして、12月15日が世界経済の分岐点になる。

日本の景気は確実に後退してきた。11月家庭消費も5.1%のマイナスであり、日銀の量的緩和から政府の財政出動にシフトして、景気の下支えを行うことで、アベノミクス第2弾が始まる。

しかし、米国の景気好調で、株価が上昇して、日本株の割安感が出て、株価と景気の関係は、あまりない状態になっている。景気が悪いのに株価が高いということになる。

しかし、12月15日に関税引き上げとなると、日経平均株価も大きく下落することになるので、注意が必要である。

先進国経済の分析

リチャード・クー氏の講演会では、現代の経済理論は、お金を借りる多くの存在が必ずいるという前提で構築されているので、金利を下げるとお金を借りる人が増え、金利を上げるとお金を借りる人が少なくなり、このお金を借りる人の数と量を調節することで、景気をコントロールすることができるとしたのである。

しかし、現在、日本や米国、欧州で起こっていることは、お金を借りる人や企業が少なくなり、金利を下げてもお金を借りる人がいなくて、景気刺激ができないことになった。お金を銀行に預ける人は、多数いるので、その集まったお金の使い道がなく、債券や株に投入されて、株価や債券価格の上昇を引き起こしている。

この上に、金利を下げても景気刺激にならないので、中央銀行は、国債を買って、お金を大量に市中に供給したが、お金を借りる人がいないことで、益々、市中銀行は、株や債券を買うことになり、株価や債券価格が上昇する結果になっている。債券価格上昇とは金利が安いことである。

なぜ、先進国企業は、お金を借りないかと言うと、新興国の労働者の賃金が安く、製造単価が低いので、コストが低い新興国に工場を建てることで、投資を海外で行うことになる。新興国への投資は、地元銀行でお金を借りることで、為替リスクを回避できるので、新興国の銀行で借りることになり、日本の銀行からは借りない

日本にいる中小企業は、新興国に付いていけないので、大企業は、新興国の中小企業を育成するので、新興国企業は発展して、地元銀行から資金を借りて投資するが、先進国の中小企業は仕事を失い倒産や廃業することになる。このため、資金を使うことはない。ということで、この余剰な資金を使えるのは、国しかない

ここまでが、リチャード・クー氏の講演内容である。

print
いま読まれてます

  • 失われた30年から脱却。日本が再び「国営化」に舵を切るべき理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け