【カンブリア宮殿】成長を続ける奇跡の経営術「キッコーマン」

 

異国の食コラボ~有楽町の異色レストラン

食文化の壁を壊し、融合させる。そんなテーマを、キッコーマンはレストランに発展させていた。
東京・有楽町に去年オープンした「キッコーマン ライブキッチン東京」。客の前で腕を振るうのは、京都の料亭「木乃婦」三代目・髙橋拓児さんに、白金の人気フレンチ店「レストラン アルシミスト」の山本健一シェフ。ここは、月替わりで違うジャンルの料理人がコラボした異なる食文化の融合を楽しむ店だ。

例えばこの日は、京都の伝統野菜・賀茂茄子に、福島牛をダイナミックに乗せた京料理とフレンチの共演。髙橋さんは「普通は賀茂茄子の『しぎ焼き』と言って、だいたいエビとウニを乗せます。あまりこんなことはしない。したことがないです」と言う。

客の反応も「初めて食べました」「来たかいがありました」と上々だ。

茂木友三郎の経営指南1~赤字こんにゃくメーカー

大阪・堺市の90年続くこんにゃくメーカー「中尾食品工業」。会社を切り盛りする4代目の中尾友彦社長(31)は、最近のこんにゃく離れに大きな危機感を抱いていた。

「今まで通りこんにゃくを売っていくだけだとジリ貧になる。何か新しい活路を見いださないといけないのは確かです」(中尾さん)

有機栽培で育てたこんにゃく芋を原料に使い、受け継いだこだわりの製法を守っているのだが、売り上げはピークの半分以下に激減。赤字に陥ってしまった。

中尾さんは様々な手を打ってきたが、どれも結果を出せなかったという。

例えば、こんにゃくを丸ごとミキサーに入れ、盛りだくさんの野菜やフルーツと混ぜ合わせて作る、ダイエットに最適なこんにゃくスムージー。ヒットを確信した中尾さんは去年、新宿駅前におしゃれな店をオープン。若い女性をターゲットにしてみたが、「あまり売れなかった」(中尾さん)と、わずか2カ月で閉店という最悪の事態に。中尾さんの元からは多くの職人が去っていった。

今度こそはと取り組んでいる大逆転の秘策は、こんにゃくを特注のマシンでタピオカ風に。ブームに乗ってヒットさせたいという。

そんな中尾さんに対して、茂木は次のように語る。

「アイデア先行というか詰めが足りないというか、アイデアだけで作ってしまって『売れませんでした、閉店しました』という話では、何回やってもうまくいかない。まずは試作をして、テスト販売をする。それで消費者の反応を見ながら修正していく。ある程度の反応があるところまで作り込み、『いけそうだ』という商品を作ったうえで本格的な販売をしたほうがいい。夢だけ大きくて、ステップを飛ばしている感じがします。若くて意気込みがあるところは買いたいと思いますが」

茂木友三郎の経営指南2~海外で苦戦、かつお節メーカー

鹿児島・枕崎市の「大石商店」は、伝統的な製法にこだわったかつお節づくりをしてきた。しかし今、大石克彦社長(61)には大きな悩みがある。

「120社あったのが今は47社。かなり厳しい状況が続いています」(大石さん)

かつお節の生産量日本一を誇る枕崎だが、需要が減る中、生産者の廃業が後を絶たないという。そこで2014年、地元企業10社で「枕崎フランス鰹節」という会社を設立。挑んだのがヨーロッパ市場の開拓だ。

EUの厳しい基準によって、日本のかつお節はそのまま輸出できないため、思い切って2016年、フランスに工場を建設した。現地で雇ったフランス人にかつお節作りを叩き込み、ようやく販売へとこぎつけた。ところが、壁にぶち当たる。

「最低でも5000万円の売上げを見込んでいたが、そこまでいってない状況です。まだマイナスが出ている。いいものを作れば売れる自信があったのですが、どうしても価格差が出る」(大石さん)

実はフランスには、韓国産などの安いかつお節がすでに出回っている。価格競争で苦戦を強いられているのだ。そこで現在は、かつお節を使ったフランス料理のレシピを提案しようと奔走中だという。

そんな大石さんへの茂木のアドバイスはこうだ。

「アドバイスがあるとすれば、料理学校を見つけて、そこの先生に相談してみればいいのではないでしょうか。『かつお節をフランス料理に使えないか』と。うまく的に当てるためには、専門家の意見を聞くことだと思います」

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