やってる感の末路。東京五輪が延期でなく「中止」するしかない訳

 

東京五輪どころではない内外の空気

第3に、細川の言うとおり「東京オリンピックについても、『それどころではない』というのが多くの国民の受け止め方」である。17日発表の共同通信世論調査では、69.9%が「東京五輪はできない」と答えている。

こればかりは日本がいくら力んでもどうにもならないことで、世界的なパンデミック状況がいつ収まるか見通しが立たない中では、米ワシントン・ポスト紙が3月20日付の論説で言うように「200以上の国と地域から選手が出場し、来場する観客は1,000万人とされる東京五輪はウイルスにとってふ化器のようなもので、致命的な広がりをもたらす」「五輪と日本の関係者が、東京五輪を開催できるかのように行動していることは、完全にばかげており、全くの無責任だ」と捉えるのが常識的である。

しかも、本誌が前から指摘してきたように(No.1,035など)、これはパンデミックが7月24日の開会式までに収まっていればいいという話ではなく、今の時点で先が見えて、遅くとも4月一杯までに再燃の危険性を断ち切ることをも含めて全世界的に完全終息する見通しが立っていなければならない。なぜなら…、

  1. 各国の代表選考のための競技会が続々と中止に追い込まれているため、約1万1,000人の全出場枠の約43%がまだ決まっておらず、いつ決められるか見通しが立たない
  2. すでに代表に決まった選手も、外出制限、運動施設やトレーニングセンターの閉鎖などで練習が出来ない。今の時期に練習を大いに詰めて総仕上げし、いったん緩めてから夏に向けてコンディションを整えていく訳なので、もはや最高のプレーと記録を期待するのは無理となっている。これでは、出場を辞退する選手・チームが続出するのではないか
  3. 日本全国480の自治体が各国のさまざまなチームの事前キャンプを受け入れる「おもてなし」契約を結んでいるが、早いチームは5月から来日する予定で、そのためには今の時期に幹部が先乗りして現地を視察して細かい打ち合わせをしなければならない。ところが、17日にNHKが伝えたように、高知市で合宿を予定しているチェコの陸上チームのコーチが18日から2日間視察に訪れるはずが、チェコ政府から非常事態宣言が出ている中で訪日することが出来なくなるなど、すでに直接の影響が出始めている

このような有様を見て、すでにスペイン、ジャマイカ、ノルウェーなどの五輪委員会や米水泳連盟がIOCに対して延期もしくは中止を求めている。また米上院の商業小委員会の委員長と有力委員は連名で3月11日、IOCや日本政府の新型コロナウイルス拡大防止策の詳細を7項目にわたり問い合わせる書簡を、バッハ会長宛に送った。そのような各国からの要請は今後さらに広がり、IOCも無視できなくなるだろう(写真:「米上院議員のIOC会長への書簡」)。

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