新型コロナ情報戦で国民の66%を「嫌中」にしたトランプの大勝利

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新型コロナウイルスの流行拡大を決定打とする「分断」は、世界中で進行しているようです。アメリカ国民の対中国感情が過去最悪を記録したことを伝えているのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、米国人の66%もの人が中国に対して「好意的でない印象」を持つに至った理由を記すとともに、今年11月に迫った米大統領選への影響についても考察しています。

アメリカ人の対中感情は【過去最悪】になった

ダイヤモンドオンライン4月7日に、「米中『コロナ情報戦』は米国の圧勝か、中国共産党が今後迎える危機」という記事を書きました。一部引用します。

米国は、いつの間にか、感染者数世界一になってしまった。4月3日時点で、感染者数は24万人、死者は5,000人を超えている。恐ろしいことに、感染者も死者も、どこまで増えていくかわからない。経済的打撃も、リーマンショック後の08~09年を上回ることは確実だ。破産、倒産が日常化し、町は失業者であふれることになる。

 

米国民の怒りは普通なら、為政者であるトランプに向かうだろう。しかし、トランプは言う。「これは、私の責任ではない。中国政府が、初期の段階で情報を隠蔽したことが今の惨状の原因だ。我々は、中国政府の責任を厳しく追及していく」と。

 

こうして彼は、見事に責任を中国に転嫁することに成功する(「転嫁する」というか、事実であるが)。

全文はこちらからお読みいただけます。

米中「コロナ情報戦」は米国の圧勝か、中国共産党が今後迎える危機

その後、どうなったのでしょうか?どうやら、予想通りの展開になってきたようです。アメリカ国民の対中感情が、【過去最悪】になってきた。AFP=時事4月28日から。

米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が21日に発表した研究によると、米国人の66%が中国について好意的ではない印象を持っており、過去最低の結果となった。

米国人の66%が中国について好意的でない印象を持つ。これは、過去最低(=最悪)だそうです。なぜ、アメリカで反中感情が高まっているのでしょうか?新型コロナウイルス問題が起こる前から、「そもそも悪くなっていた」。

論文の執筆者の一人で同センターの研究員、ローラ・ミラー(Laura Miller)さんは「基本的に、過去2年のうちにネガティブな方へと劇的に変化した」と話す。

なぜ2年前から悪くなったのでしょうか?皆さん、思い出してください。日本人のほとんどの人は知りませんが、2018年、米中覇権戦争がはじまりました(こちらも参考にしてください。

● 『米中覇権戦争の行方』北野幸伯 著/扶桑社(北野本人による内容紹介動画はこちら)。

それで、関税引き上げ戦争があった。ファーウェイ戦争もはじまった。中国政府が、ウイグル人100万人を強制収容していることも暴露された。香港における人権弾圧も問題になった。これらの要因で、「そもそも」悪化していたのです。

しかし、「さらに」悪化させたのは、「新型コロナウイルス問題」。それを、「自分のせいにされたくない」トランプさんが、旗を振って、「中国のせいにしている」こと。

トランプ氏は過去数週間、中国・武漢(Wuhan)で最初に確認され、米国で5万超が死亡したこの感染症について、中国がその元凶だと指弾してきた。
(同上)

ダイヤモンドオンラインに書いたとおりになっている。そして、これも予想通り、アメリカ人は納得している。なぜ「納得」かというと、それが事実ですから。あまりにもアメリカ国民の反中感情が高まっている。

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