NYで新聞社を成功させた日本人社長が語る「ホントに必要な情報」

 

「経済最新トレンド情報」を追いかけなくてもいい理由

くどいようですが、もちろん悪いことじゃない。1日中、YouTubeをダラダラ見てたり、意味なくゲームをして1日を潰すよりははるかにいいとも思います。でも、特定の人以外に、それら「経済、ビジネスにおいての最新トレンド情報」は、決して、最優先事項ではないんです。余った時間で流し見すれば十分。

「ビジネスマンたるもの、日経新聞くらいは毎日熟読しなさい」とか、「日経トレンディや東洋経済のWEB版を定期購読してビジネスに活かしなさい」と言われている昨今、「そんなの、暇な人がやればいいんじゃない?」などと言うと確実に怒られるか、鼻で笑われそうです。でも、僕の意見は変わらない。確かに「情報を制せば、ビジネスを制す」な仕事に就いている人はこの世にいます。でも圧倒的少数です。一般のビジネスマンにとって、それらは枝葉になっても、幹にはならない。特に、新卒社員、自営業者、主婦、学生くんたちにはもっと優先すべき事が山ほどある、と思っています。

その「経済最新トレンド情報」を最優先にしなくていい理由の1つ目は、「それ、あなたの手元に来た時点で、最新じゃなくなってますよ」ということ。「時代に追いつかなきゃ!」と言ってる時点で、フォロワーでしかない。ファッションとか、エンターテインメントや、グルメであればそれでもいい。それらはただのフォロワーになったとしても、楽しめます。でも、ビジネスにおいては、あまり意味がない。「この株買ったら、上がりますよ」という情報と変わらない。買った時点で株価は下がります。なぜならみんな買うから。

香港にいる一流の投資家に取材した際、彼は「これから、この銘柄、“来る”よ」とあえて各方面から情報を流す、と教えてくれました。で、上がった時に、一気に売る。株式市場においては、珍しいことでもなんでもない。こんなの大昔から実在する初歩の初歩の手口です。にも関わらず、経済、金融、ビジネスにおいては、いまだ耳にします。「これからは、この職種がおいしいよ」と。

インフルエンサーと呼ばれている人の発言に乗っかってる時点で、自分の頭で考えることを拒否しているんじゃないのかなと思ってしまうほどです。日本での講演会の時に会う、20代、30代の頭のいいビジネスマンに多い。「やっぱ、これからは、こういう時代だと思うんすよ」。そのあとに続くロジックは、日本の著名なインフルエンサーたちがオンラインサロンで、YouTubeで、そのままの内容を発言していたのを後になって発見することも珍しくありません。時代の最先端にいる彼らが無料のコンテンツで自身のアイデアをそのまま配信するとは考えにくい。そのまんま、その意見ごとフォロワーになったら、おいしさはそこにはもう残っていない。

事実、僕たちが学生だった90年代、「これからはITの時代だよ」と言われてきました。そして事実、そうなりました。そして今、毎週のように職にあぶれたウェブデザイナーがうちの会社に就職面接に来ます。当時の時代の波に乗っかった結果、今現在、飽和状態に溺れている。好きならまだ救われます。でも、時代がどうだから、日経新聞に書いてあったから、という理由だけで、職業を、やることを選んだ結果、希少価値や専門性が薄れて職にあぶれちゃってるなら、少し、かわいそうにも思えます。

本当の意味での最先端は、上で経済を動かしているごく一部の人間だけが掴んでいるのかもしれません。慌てて「経済の動向」とやらを「トレンドの職業」とやらを追いかけている時点で、いちフォロワーでしかなくなる、ということです。

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