NYで新聞社を成功させた日本人社長が語る「ホントに必要な情報」

 

例外が生じる余地がある。最先端と時代遅れが同居する街

2つ目の理由は、その人の置かれた立場、国、業種、状況により「最新情報」の価値は変わってくる、ということです。極端に言うと、レストランのオーナーが、仮想通貨の最新情報を必死で得るより、新メニューの開発を考える方が、実入りが多くなる可能性が高いということです。主婦が株を始めるため、専門書、セミナーに高額のお金を投資して、少しくらい知識をつけて、利回り4%で持ち金50万円を20年かけて100万円に増やす。それよりも、日々のお買い物を工夫すれば20年で50万円以上の得をする可能性の方が高い。(しかも、テキスト代、セミナー代も投資額に加算されていることをお忘れなく)。

昔ながらの「節約術」の方が、財布の中身だけにフォーカスすると効率が良かったりします。もちろん、「それじゃあつまらない、それに株をやることによって、経済の勉強になるじゃないか」と言われてしまえば、その通りなのですが、それならば、本来の目的である「投資して、少しでも多く運用したい」もっと極端に言えば「有益な情報によってお金を稼ぎたい」というところから逸れてしまっています。前述したように、「楽しいから」「勉強のためだから」「友達との会話に、小難しい専門用語を交えたい」という理由だけであれば、推奨します。

あらゆる情報を手当たり次第に知識として博学的に仕入れることは、知的好奇心を満たすことはできるけれど、コストパフォーマンス的には、あまりいいとは言えません。理髪店の店長がAI産業の動向を追うことを最優先にする必要はない。することは他にも山積みなはずです。

少しだけ話が逸れますが。たとえば、ニューヨーク。世界最先端の街、というイメージがあると思います。芸術家の千住博さんにインタビューした時のこと。彼は、「ニューヨークって、“先端”じゃないんだよね、“多様”なんだよね」とおっしゃいました。何の説明もなかったその一言が、わかりすぎるくらいに僕にはわかりました。この街には、もちろん「先端」もある。でも、同時に「時代遅れ」もかなりの割合で同居する。つまり「なんでもあり」なんです。最先端とクラシックが共存できる街。実際、今日も、道端で寝ているホームレスの枕元にはラジカセが置いてありました(ラ、ラジカセ!?)。どこで入手できるのか、ニューヨークの七不思議の1つです。

ニューヨークの川を挟んでお隣は、ニュージャージー州です。橋1本向こうの住宅街。そこにも多くの日本人永住組が生活されています。60年代や、70年代に来られた人も多い。中には50年代に渡米してきて、その間、ほとんど日本に帰国をしていなかった人も珍しくはありません。彼らの日本の情報はその時点で止まっていたりします。車の整備工場を経営している年配のお客さんは、「最近、シティーの景気はどうよ?」と聞いてきたりします。シティーとは、マンハッタンのことです。

明らかに、世間のイメージするニューヨークとはまた違うニューヨークがそこにはあります。商談の際、奥から奥様が、かっぽう着…というのかな、白い袖を通すの、を来てお茶を運んでくださいます。3丁目の夕日な、この世界に、果たしてビットコインの最新リソースが緊急に必要でしょうか。そこにはすでに立派な生活があり、車整備のサービスのクオリティーを上げる方が、報酬が上がる近道に思えてしまうのは僕だけでしょうか。

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