NYで新聞社を成功させた日本人社長が語る「ホントに必要な情報」

 

僕自身もこの17年間、数え切れない人に「今さら紙の新聞~?」とニヤニヤされてきました。「いや、ニュースサイトもあるんですけど…」と慌てて、反論していた時期もありました。でも、今は「そーなんです、時代錯誤も甚だしいでしょ~」と笑顔で返せます。理由は、「投資をしてリターンを得る」というビジネス本来の理由を、その時代錯誤な「紙の媒体」がこれ以上ないほど、支えてくれているからです。支えるどころか、今現在7つの事業のうち、もっとも収益率が高い柱となってくれているからです。

そうは言っても、実は僕自身もいまさら「紙の媒体」に懐疑的でした。数年前からデジタルのニュースサイトにかなり力を入れ、それなりに投資をしてきました。正直、その頃は「紙の新聞」を気持ちの中でなおざりにしていました。ところが、ニュースサイトの方は、投資額に比べ、時間が経過しても、そう利益率が伸びない。そうこうしているうち、ほったらかしの本来の紙の新聞の方の利益率がどんどん上がっていく。

経済評論家でなくてもわかる、あたりまえの「時代の流れ」はそのコンディションによって、必ず、このような例外も出てきます。おそらく、いろいろな理由があると思います。その理由を今ここで述べる時間もスペースもありませんが、要はビジネスってそういうものなのです。十分な利益を出してくれている事業を、時代遅れで最新ではない、という理由で、自ら撤退する経営者はいません。

もし、デジタルでもなく、紙でもなく、伝書鳩を使ったメディアが大ヒットして、売り上げを伸ばしてくれるなら、この令和の時代、僕は鳩を大量に飼育します。伝書鳩事業をしないのは、おそらく鳩がそのまま飛んでっちゃって、大赤字になるから。それが理由です。決して、時代錯誤だから、という理由ではありません。

時代に合わせて、とか、マーケットのトレンドに沿って、とか言いたくなる気持ちはわからなくもないのですが、どうやってマネタライズして、どれくらいの利益が出るかを予測する方が先です。この20年間、数えきれないほど会った、やたら、ビジネス英語を連発してパワポを使う自称コンサルタントたちが、今、どこで何をしているのか、僕には探す手立てはありません。

先日、そのニュージャージーに住まれている大金持ちの年配の女性のお客さんに、こう言われました。「いい?あなた、これからの時代はね…インターネットよ!」彼女は目を見開いて自信満々に言い放ちました……「……は…い」。本当に先日の話です。日本だと35年前のセリフです。

当たり前の話ですが、地域によって、人によって、情報の最新性は異なります。価値自体も変わってくる。最新トレンドを、みんなが一様に追いかける必要がないといういい例です(ま、もちろん、これは極端な例だけれど)。

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