対象となるキャッシュレス決済サービスと紐付けることにより、上限5,000円分のポイントが還元されるマイナポイント事業。しかしその手続は、複雑極まりないようです。今回の無料メルマガ『おやじのための自炊講座』では著者のジミヘンさんが、実際に試みてみたPayPayとの紐付け作業の様子をリポートしています。
マイナポイント
皆さん、お元気ですか。ジミヘンです。
テレビを見ていると、俳優・舘ひろしがうさぎの着ぐるみに入っている政府総務省のCMが流れている。曰く、「マイナンバーカードでマイナポイント!」。果たして、このCMを見て、何%の人が内容を理解しているだろうか。
マイナポイント事業とは、マイナンバーカードを使って予約・申し込みを行い、選んだキャッシュレス決済サービスでチャージや買い物をすると最大5,000円分のポイントを還元するという国の政策だ。コロナ対策で決まったと誤解している人もいるようだが、これは昨年決まっており、景気対策の一環で考えられたものだ。
例によって、あれもこれも絡めて何とかしろという現政府のやり方だ。
国は、消費増税による購買意欲低下への対応として消費喚起を目指すとともに、キャッシュレス決済の促進、さらに中小企業の支援も目的とするなど、同時に複数の成果を狙っている。結果、制度は複雑化し、利用者には混乱もみられる。
先にマイナンバーカードを取得した小生は、試しに「マイキーID」を取得してPayPayと紐付けすることにした。
iPhoneの“App Store”からアプリ「マイナポイント」をダウンロードして、申し込もうとしたが、入口で拒絶された。
「iOS13以上じゃないと、使えません」。
仕方がない。auショップへ行って、機種変更を申し込む。廉価な最新機種のiPhone SEを入手して、さて条件は整った。いざ、マイキーIDの申し込みだ。
ところが、何度試してもカードの内容を読み取ってくれない。エラー表示は「利用者証明用電子証明書が発行されていません」。「市役所で手続きをしてください」とある。段々、腹が立ってきた。手続きは完了している筈なのに、また市役所か。
数日後、市役所の窓口で相談すると、担当の女性が申し訳なさそうに、「なかなかうまく読み込めないようです。わたしもカードの上に10分間ほど置いていました」と言う。どうやら、エラーが出るのは手続き不備ではなく、カードに入っているICチップをスマホでうまく読めないハード的な問題らしい。
市役所のフロアの端に特設コーナーがあり、担当の男性職員が親切に作業を手伝ってくれた。先ずPCにマイナンバーカードを置き、暗証番号を(小生が)入力。何とか8桁の「マイキーID」を取得。更に、次は小生のスマホからPayPayを立ち上げ、紐つけ作業。この複雑怪奇な作業を多くの国民が果たしてやっているのだろうか?
何とか終了し、「分からないことがあったらこの番号(マイナンバー総合フリーダイヤル)に電話してください」と言われた。「その際には、必ず8桁のマイキーIDと電話下4桁を言ってください」。フーッ、みんな大変だ。
担当者に確認すると、PayPayの場合、9/1~3/31の間に2万円以上のチャージをすると25%(=5,000円)が還元されるとの事。パソコンを40年近く触っている小生が理解に苦しむシステムを、本当に多くの国民が使えるのだろうか?先ず、アベやアソウやスガやタカイチ各氏が自分でやってみて、これなら良いだろうと、確認すべきである。作業は役人任せにして、自分は利権のことしか考えないからこんなシステムばかり生まれる。市役所の彼や彼女が可哀想だ。こんな(理解に苦しむ)仕事をするために公務員になった訳ではないだろう…。
※ 調べてみると、今年8月現在の「マイナンバーカード普及率」は18%で、2,300万人ほどが取得。しかし、「マイナポイント申込者数」は8月末現在、377万人。政府は、4,000万人分の予算を計上しているそうだが、5,000円のニンジンにそれほど食いつくと思ったのであろうか?
image by: 総務省 マイナポイント事業