狙いはエネルギー利権。旧ソ連の火薬庫爆発で世界が見る地獄絵図

 

世界が地獄絵図を見る最悪のシナリオ

そして皆がハンドリングを誤り、アルメニアとアゼルバイジャンとの間の紛争がpoint of no returnを超えてしまうような事態になれば、まさに欧州から地中海沿岸地域、中東からコーカサスに至るまでの非常に広い範囲が一触即発の事態に陥ることになります。

チェチェンでの紛争が再点火し、南オセチアとジョージア共和国との紛争も激化、トルコはギリシャとフランスと武力衝突し、東地中海の海底ガス田は傷つけられ、ナゴルノカバエフ地域の原油・天然ガスパイプラインも破壊され、地中海沿岸諸国のエネルギー安全保障は乱れ、そこにシリア問題やイランを巡る問題が絡んでくることで、非常に広い地域が地獄絵図を観るような惨状に発展していく可能性が見えてきます。

まさにコーカサス、バルカン半島、中東という複数の火薬庫が同時的に爆発し、その炎が広く世界に広がる恐怖のシナリオです。

コロナウイルスのパンデミックとその後の経済社会的な混乱で連帯感や経済力、協調性などが薄れ弱まっている現状で、このような恐怖のシナリオを“ただの妄想”で片付けることが出来る力が世界に残っているかどうか。非常に不安が募ります。

そのような状況の中、なぜかアルメニアとアゼルバイジャンとの間の紛争を巡る多角的調停プロセスに関わるように依頼が来ました。どのような構成になるのか不明ですが、両国とトルコ、ロシアの合意の下、このプロセスを立ち上げることになったそうですので、最後の望みをかけて臨みたいと思います。

またご意見などお聞かせいただければ幸いです。

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