NY「再ロックダウン」報道の嘘と本当。現地で何が起こっているのか?

 

(4)独特の考え方とは何なのか?

ユダヤ教超正統派の方々が、マスクやフェイスカバーの着用をせず、また、ソーシャル・ディスタンスを維持しない理由については、イスラエル、ユダヤ、中東関連に詳しいエルサレムポストが詳しく伝えています。

それによると、ユダヤ教超正統派コミュニティの独特の考え方がマスクの着用を拒否していて、感染拡大に繋がっているようだとのことです。

独特の考え方というのは、まず、新型コロナ問題が勃発した初期段階で、このユダヤ教超正統派コミュニティで感染が拡大していたことから、すでに彼らのコミュニティには抗体がある、免疫があると信じる人が多いそうです。
COVID spreading in Orthodox areas. Why are people still not wearing masks?

つまり、集団免疫があるので自分たちは感染を恐れる必要はないという考え方のようですが、実際に抗体はどうなのか?というと、感染拡大中のウィリアムズバーグの抗体検査の直近データによると、検査を受けた約31%が抗体を持っていて、ブルックリン全体の抗体検査の陽性率26%よりも若干高いという結果だったそうです。ユダヤ教の中でも特に厳格なコミュニティであるハシディズム・コミュニティがあるボローパークの抗体検査の陽性率は44.2%でした。

集団免疫の効果については7割~8割必要だとか、最近では5割あれば良いなどなどいろいろ言われてはいますが、そもそも抗体自体が数ヶ月ほどしか維持しないとか、再感染する可能性もあるなど不確定要素がまだまだ多い状況です。

なので、一般的には「新型コロナの実態はまだまだよくわからない」ので、用心するにこしたことはない、と考える人が多いわけなんですけども、そういった新たな情報や、そもそもの科学的根拠自体を信じない人もけっこういるので、マスクをしない人が多いそうです。そもそもマスクをつけること自体が危険だといった話も出ていたりもします。

特に彼らは非常にコンサバティブなので政治的にはトランプ派であり、これは日本にも伝わっているように、トランプ派がマスク反対しているという図式ぴったりの考え方をしているそうです。

で、マスクをしない人は、上述したようにトランプ支持者に多く、例えば、中西部やトランプ支持者の多いエリアには、当然、多いわけですが、この話のポイントは、ユダヤ人の中でも特にルールに厳しい超正統派のコミュニティーで感染が拡大しているということです。

ひとりひとりの考え方ではなくて、集団で同じ行動をしないといけないというコミュニティなので、リーダーがマスク着用や屋内での大人数での会合禁止を指示しない限り、状況は変わらないのです。

ちなみに、2019年4月にニューヨーク市で麻疹(はしか)が大流行して非常事態宣言が出されましたが、この時に感染の中心にいたのも、今回の感染拡大地であるブルックリンに住むユダヤ教超正統派の子どもたちでした。

予防接種を受けない人がこのコミュニティに多く(反ワクチン派)、流行の中心になっていたと当時報じられています。結局、この地域に住み、感染する可能性がある人に予防接種が義務付けられ、従わない場合は罰金を科し終息となりました。
NY市、はしか流行で非常事態へ 予防接種を義務化し違反は罰金1000ドル

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