NY「再ロックダウン」報道の嘘と本当。現地で何が起こっているのか?

 

(5)文化や慣習の違い

この宗派と関係のない人はなかなか迷惑な話で、ロックダウンされたエリアの小売店の人たちは、子供がいるのにマスクしてくれなくて困るとインタビューに回答しています。

ニューヨークは本当に多種多様な文化や価値観、宗教観があるので、基本的にみんなバラバラの考え方を持っていまして、バラバラだからこそ新たなビジネスやアイデアとか文化が生まれる街としては非常に面白いのですが、今回のように、コミュニティ独特の考え方が原因で感染が拡大することもあるので、なかなか難しいところです。だからこそ、日本よりも法的にルールを決める傾向も強く、また訴訟も多かったりする理由でもあります。

…と以上が、今回、ニューヨークが再ロックダウンしたニュースの背景ですが、こういうニュースは伝え方が非常に難しく、どうしてもマスメディアの報道では事情を伝えきれないようなので、YouTube動画の反響もよかったので、このメルマガでも改めて取り上げてみました。

ちなみに、あまりにも細かすぎるので動画では省きましたが、ユダヤ教超正統派の方々は、アプリの「ワッツアップ」で届くテキストニュースで情報を得る傾向にあるのだそうです。へぇ~。これはつまり、それ以外の情報源は使われていないとも言えまして、情報の偏りが起きている原因でもあるのかもしれません。

なお、動画最後にご紹介しているネットフリックスで視聴できる『アンオーソドックス』の原作の著者デボラ・フェルドマンさんによると、感染拡大地の中心にいるユダヤ教超正統派は、ナチス迫害(ホロコースト)の生存者によって作られたコミュニティで、そのほとんどがハンガリー系のユダヤ人だそうです。

そして、彼らはコミュニティのルールや規則を守らないと再び迫害されると考える恐怖を基礎(Fear Base)とする教えだそうです。ホロコーストは戒律を守らなかったため起きた体罰であり、あんな恐ろしいことがまた起こらないように厳しい戒律を守る、のだそうです。

自由な服装ができる一般人と違い、男性は黒いスーツに黒い帽子、独特の髪型をしています。女性は結婚したら髪をすべて剃り、かつらをかぶります。着る服にも行動にも厳しい決まりがあります。

他にもいろいろあるそうですが、その全てが、かつて彼らの先祖が受けた迫害が原因であるということを知ると、ヒトラーを筆頭とするナチスの行いは改めて許せないものです。迫害がなければユダヤ教超正統派はもっと違う教えで発展したのかもしれませんし、今回のように感染拡大にも繋がらなかったのではないだろうか?などと考えると複雑です。

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