うざったい干渉爺いの菅義偉
菅義偉には大学へのコンプレックスがある。それは受験に失敗することによって生まれた。
2人の姉が成功して共に教師になったために、そのコンプレックスは菅の中でねじくれていった。
安倍晋三は野党の女性議員、たとえば辻元清美や福島瑞穂と国会のエレベーターなどで一緒になっても挨拶しなかったという。
多分、菅は挨拶はするだろう。
安倍のコンプレックスは表面に出ていてわかりやすいが、菅のそれは内にこもって陰湿である。
日本学術会議の会員に推薦された学者の中で、政府に批判的な言動をした6名の任命を拒否するという信じ難い行動に出た菅に対し、保守的な国際政治学者の三浦瑠麗でさえ、ツイッターでこう批判したという。
「業績の中身を知りもしない人間が新聞記事程度の情報をもとに、こういうつまらない口出しをやり出したとき、社会は劣化する」
6名の中に私が対談して『戦争と日本人』(角川新書)という共著を出した東大教授、加藤陽子がいる。
副題が「テロリズムの子どもたちへ」というこの本は、中国で翻訳本も出た。「はじめに」で加藤は書く。
2010年4月4日付『毎日新聞』のコラムを加藤は「笠原和夫の名をご存じだろうか」と始めているのだが、名作『仁義なき戦い』の脚本家の名を冒頭に書いた東大教授に私は注目したのである。加藤は続ける。
「笠原の書いたものは必ず読むようにしてきた私だが、『破滅の美学』(ちくま文庫)中に惹かれる一文があった。
『どうも日本人は、アナーキーなことをやっていると生き生きとしてくる』。
お正月に皇室の写真を拝し、お彼岸とお盆に仏壇を開けば、残りの1年は好き放題やっていても暮らしてゆける国、日本。落語に出てくるような人々の安穏な暮らしぶりを笠原は『天皇制下のアナーキズム』と名づけた」
ちなみに、この『破滅の美学』の書評を私が書いたのに着目して、笠原が次の『「妖しの民」と生まれ来て』(講談社)の推薦文を頼んでくるという一幕もあった。
喜んで応じて次のように書いた。
「『仁義なき戦い』には興奮した。身体中の血を逆流させて、あの映画を見た。これはその脚本を書いた著者の、すさまじい半生記である。モデルとなった暴力団の元組長が、同じ大竹海兵団の生き残りだったことがわかって、映画化の同意が得られたといった”秘話”もちりばめられている。
軍隊、そして映画と、尋常ならざる世界に生きてきた著者のあふれるエネルギーは、貧血気味の日本の現在に、ほとばしるものを注ぎ込む。
無頼の精神とは、死んでもいいがタダでは死なんぞという精神であり、この本には全編それがみなぎっている」
うざったい干渉爺いの菅には、多様性を求めるアナーキーなエネルギーが恐いのだろう。(メルマガ『佐高信の筆刀両断』より一部抜粋)
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