ゼットスケーラー日本・アジア代表の金田博之氏が伝授、マルチタスクがまわらない時の実践的「時間管理手法」

 

重要度を要素分解してみる

今回の相談者と会話を進めていく中で、「中期計画に基づく内容ほど重要度が高い(事業売上に効果)」とするのか、「コストがかかるものほど重要度が高い」とするのかの2パターンで重要度を評価することができると考えました。

つまり、重要度の評価が難しいので 2つの要素に分解 してみたのです。

そこで先程の重要度×緊急度の2軸を以下のように応用して考えてみることにしました。

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これによって以下のような解決のアクションが生まれてきます。

  • 事業売上とコスト削減のどちらに効果があるかの2点でタスクを分類→ 9つのタスクがほぼ均等に分類できた
  • その上でそれぞれのタスクを 「緊急度」を評価→ マトリックスで整理
  • ここまでを整理した上で、事業売上(経営中期計画参照)とコスト削減のどちらに活動の重みをおくべきかを上司に相談 (本人は、売上よりもコスト削減の方が実行効果が高いと仮説を立てた)
  • 上司から「 この場合は、 まずは目先のコスト削減を優先してほしい」と言うフィードバックを受けて、コスト削減に影響するタスク(約4つ)にまずは活動を絞り、緊急度が高いタスクを優先づけ。
  • 結果、9つのマルチタスクが2つの「重要度大×緊急度高」に絞られ、まずはここから活動を集中できる状態に

と言う結論に至ったのです。

今回のように、重要度の基準を決めるのが難しければ、まずそこから上司に相談するか、自分なりに仮説を考えて重要度の基準を考えるとよいでしょう。 

実際にこの2つも、どちらを基準にするかは現場だけでは判断しかねる場合もあるので、「事業売上(中期経営計画関連)とコスト関連のどちらを優先的にやるべきですか?」と上司に相談を持ちかけることで、「重要度×緊急度」を整理し、活動を絞りこむ道筋が見えるようになったのです。

その他の要素は随時上司に相談しながらタスクの優先づけを決めていくことで、上司からの支援を仰ぐとよいでしょう。例えば、上司判断で「他部門に支援依頼をする」「優先度を変える代わりに後回しにしてもよいタスクを判断する」などの状況判断をしていきます。 

このような形で緊急度×重要度でマトリクスを時には応用して整理し上司に説明すれば、抱えているタスクが現場だけでは難しいということを説得しやすくなるでしょう。

時間管理がうまくいかないとき

ここまでタスク管理の考え方を説明してきました。

中でも、 重要度を決める基準をどこにおくのか が大切です。

今回の例ではとある部署内での話ですが、個人の時間管理でも同様のことが言えます。

重要度や緊急度をしっかりと考えた上で計画を立ててタスクに取り掛かっているのに、なぜか思い通りにいかない、時間が足りない、いい成果が出せないという人は、重要度の基準を見直す必要があるかもしれません。

例えば副業をやって儲かっている人が、優先順位をキャッシュとした場合は本業と副業では時間単価の高い方を優先するという判断になりますが、副業は収入が不安定なものが多いので、どっちつかずの状態になって結果としてどちらもよいパフォーマンスを出せなくなってしまうということが考えられます。

そうならないためには、別の基準で重要度を決めた方がいいでしょう。

例えば将来起業や転職などを見据えてやっている副業であれば、ノウハウや人脈などの将来性をメインに考えるなどです。

ただなんとなく重要度を決めるのではなく、今の自分にとって何が大切なのか、どこをゴールに設定するのかを考えて、逆算して重要度の軸を考えましょう。

今回の実践ポイント

  • 時間管理は、緊急度×重要度の2つの軸でマトリックスにして整理する (時間管理マトリックス)
  • その際に、重要度は何を基準に測るのかを決めておく(ここが大事な着眼点)
  • 結果的に、重要度と緊急度の高い要素に活動を絞りこみマルチタスクを前進させる(その他の要素は随時上司に相談しながらタスクの優先づけを決めていく)

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テーマ:マルチタスクがまわらない時の実践的時間管理手法 (時間管理マトリックスの応用)

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image by: Shutterstock.com

金田博之この著者の記事一覧

世界MBAランキング首位のINSEADエグゼクティブMBA卒業。1998年、外資系大手ソフトウェア企業のSAPに新卒入社。30歳からマネジメントを歴任、7年連続グローバル・トップタレント選出。 2014年、日本の大手製造・流通企業ミスミグループでGMとしてグローバルDX新規事業を推進後、最先端AI/チャットの外資系IT企業、ライブパーソン(LivePerson、NASDAQ上場)の代表取締役に就任。3年間で毎年300%超成長(アジア全体売上の76%)。 2020年12月、クラウド型ネットワークセキュリティのトップ企業ゼットスケーラー(Zscaler、NASDAQ上場)にて、日本を含むアジア全体を統括する代表取締役に就任。 セミナー、企業、大学等で講師経験10年以上、受講者のべ5,000名以上。日経BP、東洋経済ほかメディア掲載多数。

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