米国流を取り違え。東芝の買収失敗で剥がれた「プロ経営者」のメッキ

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先日掲載の「資生堂に異変。米国仕込の『プロ経営者』が日本の老舗企業を食い物にしている?」で、さまざまな企業をトップとして渡り歩く、いわゆる「プロ経営者」たちのそもそもの手腕に対し疑問を投げかけていた、元全国紙社会部記者の新 恭さん。そんな中のとある人物のメッキが今、剥がれ始めてきているようです。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で今回、上記記事で資生堂の事業売却において大きな役割を果たした藤森義明氏が、先日話題となった東芝の買収騒動にも同社取締役という「当事者」として絡んでいた事実を紹介。結果的に社を追われることになった藤森氏の姿勢を、「強欲資本主義」という言葉を以て否定的に記しています。

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東芝・資生堂で暗躍したプロ経営者の挫折

東芝の社外取締役の1人が6月25日に開かれる定時株主総会をもって退任する。これだけなら、ありふれた知らせである。だが、退く取締役が東芝の買収騒動に絡んでいたとなると、その意味するところは大きく異なる。

元LIXIL社長、藤森義明氏がその人だ。資生堂の魚谷雅彦社長、元日本マクドナルド社長の原田泳幸氏らとともに、「プロ経営者」とメディアでもてはやされてきたが、ここへきて地金が出はじめている。

東芝の買収騒動は、今年4月7日、日経新聞に掲載された記事(下記)がきっかけで起きた。

英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズなどが東芝に買収提案することが6日分かった。物言う株主との対立が続いている東芝の株式を非公開化して、経営判断を速める。買収額は2兆円を超える見通し。日本を代表する企業が統治体制を変えるため、非公開化を検討する異例の事態となった。

この買収話をCVCに持ちかけたのが、あろうことか東芝社長の車谷暢昭氏だった。それがバレて、取締役会が紛糾、車谷氏は取締役会議長、永山治氏(中外製薬名誉会長)らの厳しい追及を受けて辞任した。

車谷氏はCVCの元会長、藤森氏は今もCVC最高顧問である。そして、現CVC社長の赤池敦史氏は、東大アメリカンフットボール部における藤森氏の後輩だ。この三人が東芝買収計画を練ったことは容易に想像がつく。当然、藤森氏の退任も、買収劇の幕引きにからむ人事に違いない。

ご記憶の方もいるだろうが、実は当メルマガが、今年3月4日に配信した「老舗大企業を私物化するプロ経営者たち」という記事に、藤森氏は登場する。このときは、資生堂が舞台だった。

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資生堂はヘアケアの「TSUBAKI」、ボディケアの「SEA BREEZE」など、安定した利益をあげている日用品事業を、CVCに売却したが、CVC最高顧問である藤森氏は、資生堂でも社外取締役をつとめており、魚谷雅彦社長とは昵懇の仲だ。

つまり、買収する会社の最高顧問と、買収される会社の社外取締役を兼務していたのが藤森氏であり、それぞれの社長との親密さを含め、構図は資生堂も東芝も同じだ。

藤森氏は米GEで、故ジャック・ウェルチ氏の経営手法を学び、シニア・バイス・プレジデントまでつとめた。LIXILの社長になり、就任時3%にすぎなかった海外売上高比率を、30%近くにまで高めた。その手腕はGE流の「選択と集中」と評価された。輝かしい経歴をメディアはもてはやした。半面、LIXIL時代に子会社にした中国企業ジョウユウの破産で、巨額の損失を出したことについては、さほど問題にされなかった。

しかし、今年に入って資生堂の日用品事業売却話が持ち上がったのをきっかけに、藤森氏を取り巻く状況が一変する。

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