「台湾危機」勃発なら中国の攻撃で必ず巻き込まれる日本の都市名

 

尖閣諸島問題で日本と対立している台湾政府

ところで、ここまでの書きぶりだと、台湾を“味方”のように描いているように思われるかもしれませんが、実際にはどうでしょうか?

台湾は、基本的には親日国で、日本が災害に見舞われた際にもいの一番に寄り添うコメントを出してくれますし、貿易、経済、インフラ部門では日本企業を積極的に招き入れ、世界に誇る半導体事業では、台湾と日本が協力関係にあるなど、ポジティブな点ばかりが目立ちます。

先日の日米首脳会談の内容を受け、さらに台湾の対日政策を受けてだと思いますが、自民党の外交部会は台湾へのコミットメント強化を高めることを進言しています。つまり、アメリカとの外交的な合意に基づき、日本は台湾へのコミットメントを高めるという方針転換をしたというように解釈が可能になります。

しかし、注意したいのが、台湾政府も尖閣諸島問題においては、日本と対立しており、決して主張を譲る気はないという現実です。

尖閣諸島問題といえば、連日の中国の漁船が大挙して海域に押し寄せたり、去年、権限と能力が高められた海警の威嚇というように「中国」との対立ばかりがクローズアップされますが、台湾もかなりの強さで、尖閣諸島の領有権を歴史的に主張してきていることを忘れてはなりません。

この尖閣諸島問題を日中台湾というトライアングルで見た場合、日本にとっては大きく2つの危機があります。

一つは、よく言われる領有権と、それに基づく領海・領空、そして排他的経済水域(EEZ)の範囲という問題です。尖閣諸島の国有化に踏み切ったのは、そのような理由があります。

しかし、もう一つの“危機”は、あまり論争になりませんが、重大であると考えます。

それは、もし台湾が尖閣諸島の領有を主張し、日中に対して譲らない姿勢を鮮明にする場合、台湾を攻撃したい中国にとっては、尖閣諸島は格好の攻撃対象になるということです。

なぜならば、中国の主張を見ると、尖閣諸島は中国の領土であるわけで、その中国の領土の領有権を台湾が主張するということは、中国の権益への挑戦と受け取るという、若干、言いがかり的な道具に使われかねません。

まるで妄想のような内容に思われるかもしれませんが、実はこのシナリオ、中国ではしっかりと検討されているようです。「押すべきスイッチは、尖閣諸島を材料にして、台湾にスイッチを押させることだ」と述べる北京政府の高官もいるくらいですから。

もし、そのような激しいシナリオが実行に移された場合、日本はどう対処するべきか、真剣に検討はなされているでしょうか?

「日米安保条約第5条に基づいて、尖閣諸島周辺もその適用範囲であるから、安心」と高を括っていることはないでしょうか?

「日本の固有の領土」という主張には100%賛成ですし、歴史的な資料でも証明済みですが、もし日本を挟まず、中台間の抗争の材料に尖閣諸島が使われたら、日本としてはなかなかコミットしづらい(そして恐らくアメリカにとっても)状況かと考えます。

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