イラン“対米強硬派”大統領誕生で「イスラエルの先制核攻撃」が懸念される理由

 

イラン「核兵器開発能力」向上の裏に、中国とロシアの影

二つ目の【イランの核兵器開発能力】に関する懸念ですが、経済制裁でイラン経済は窮地に陥っているはずなのに伸び続ける核兵器開発能力への多重の懸念の存在です。

ミサイル能力やAI兵器、ドローンによる攻撃能力の高さは、制裁下のイランによる対サウジアラビア攻撃で証明されていますが、ウラン濃縮能力もすでに核兵器レベルにまで上げることが出来る状態であることも明らかになってきています。

それを可能にしてきたのが、イランの高い科学力と、背後にいる中国とロシアからの支援だと言われています。以前にも触れましたが、中国との間では25年間にわたる戦略的なパートナシップが締結され、アメリカとその仲間たちが課す経済制裁による影響を軽減する方策が見つかっています。

さらに、ロシアとの協力関係は軍事面にも及んでおり、表向きは核合意の締約国としてイランの核開発への懸念は表明しつつ、地政学的な観点から、中東地域におけるロシアの影響力拡大のために、イランとの強い絆が結ばれています。その手段こそが核開発を含む協力と言われています。

以前より、サウジアラビア王国をはじめ、反イランのスンニ派諸国は、【イランが核開発をやめないのであれば、我々も核兵器の開発と配備に乗り出す】と公言していますが、そうなると確実に中東地域は核武装ドミノに陥ります。

それは、アメリカにとっては由々しき問題と言えます。

盟友であるイスラエルが直接的に核武装したアラブ諸国に囲まれ、同時にこれまで以上にイランからの核攻撃の脅威に曝されることになり、一気にイスラエル国内での緊張が高まり、浮かんでは消えてきたイランに対する先制核攻撃の可能性が高まるという危険性をはらんでいます。

イスラエル防衛の観点というポイントもありますが、中東地域が核ドミノ状態になれば、抑止力が働きづらくなり、一気に核兵器による攻撃を含む武力衝突が広がることになりかねず、それはアメリカにももう対応できない状態に陥ることを意味します。

そのような状況になると、確実にロシアや中国が介入してきますし、地域の大国でもあるトルコ(注:NATO第2位の軍事的なプレゼンスでかつアメリカの核を国内に配備している)も不思議な動きを見せることになるでしょう。エルドアン大統領が元気なうちは。

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