イラン“対米強硬派”大統領誕生で「イスラエルの先制核攻撃」が懸念される理由

 

中東で「核戦争勃発」なら苦しむこと必至な“元世界の警察官”アメリカ

そのようなことになると、NATOの同盟国である欧州各国にとっては、目と鼻の先で核戦争の危険性が高まることになるため、こちらも自国の安全保障上、決して黙ってはいられなくなり、何らかの対応を迫られ、それはまた国内・域内での政治的な緊張レベルを一気に高める結果につながるという、EUの統合にとっては破滅的な状況に陥ることを意味します。

G7サミット、NATO首脳会議、米EU首脳会談などの場で、America is Backと宣言して国際協調への復帰を強調したバイデン大統領のアメリカにとっては、イスラエルや中東各国に加えて、欧州各国の同盟国も守らなくてはならないという状況になります。

それはつまり、オバマ政権下で一度“捨てた”はずの【世界の警察官】の立場にアメリカを引き戻すことにつながり、それは、確実に弱る一方のアメリカを苦しめることになります。

押すのも難しいが、退くのもまた困難というジレンマにアメリカを追い込むことにつながるでしょう。

ゆえに中東地域における核武装ドミノを何としても事前に防ぐことが、バイデン政権にとっては必須になります。

そのためには、イランのライシ新政権との緊張関係を可能な限り緩和し、イランの核開発の加速とアップグレードを何とか思いとどまらせることが、外交・安全保障的な重要戦略となるはずです。

大義名分や原理原則を重んじるイメージがあるバイデン政権の姿勢から見ると、イランとの駆け引きは、必ずしも原理原則にこだわっていられないというジレンマを経験させられることになります。

この点については、国務省の幹部曰く、非常に苦慮しているとのことです。

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