同僚選手への暴力行為で出場停止処分を受けたプロ野球・日本ハムの中田翔選手(32)に対して、栗山英樹監督(60)が「正直、このチームでは難しい」と語り放出を示唆した。2012年の監督就任以来、中田を球界を代表する4番打者に育て上げ、良き理解者でもあった栗山監督の言葉だけに、日本ハム退団は決定的な情勢となってきた。
栗山監督が中田翔放出に言及「このチームでは難しい」
中田は4日のエキシビションマッチ(非公式試合)の開始前、会話をしている際に腹を立てチームメート1人に暴力を振るったとして球団が調査。詳しい暴行の内容や選手名は明かされていないものの、被害を受けたのは入団6年目の井口和朋投手(27)だとされている。
これに対し、当初「何をしゃべっていいのかもわからない」としていた栗山監督だが16日、神戸市内で騒動後、初めて取材に応じた。
栗山監督は「ファイターズで今すぐ『さあ、行きますよ』っていう感じのことではない。それぐらい重く受け止めている。ただ、なんとなく自分で感じているのは正直、このチームでは難しいかなっていうのは思っていて」と語り、中田の放出を示唆した。日刊スポーツなどが報じた。
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栗山監督が迷いなく言い切った「このチームでは難しい」という言葉。今回、中田が起こした暴力行為は決して許されることではなく、指揮官がそう言わざるを得ないほど重たい。
なぜ、栗山監督ははっきりとここまで言及したのだろうか。
「チームの監督としては中田の暴力を認めるわけにはいきません。でも、これだけの才能がある中田の野球人生を終わらせたくないという親心も垣間見えます。そのまま日本ハムにいれば復帰することはほぼ不可能。であれば、一度リセットさせて、別な環境で野球をやらせてあげたいということでしょう」(スポーツ紙記者)
栗山監督は謝罪会見を今後開く予定であることも明かしたうえで、札幌市内の自宅で謹慎中の中田と電話で話し合い、「次のステップを踏むためにはちゃんと謝り、言われることも受け止め、我慢して前に進むしかないと伝えた」と語った。
今季のトレード期限は8月31日まで。それまでに成立しなければ、トレードの可能性はシーズンオフとなる。
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プロ野球もコンプライアンス重視で中田の獲得球団なし
これまで12年間のプロ生活の中で打点王を3度獲得するなど、日本ハム不動の4番打者として活躍してきた中田翔。今季は開幕から不振で二軍落ちも経験するなどしているものの、その圧倒的な打力はまだまだ健在だ。
本来ならチームの顔としてトレード候補にすら上がることのない選手だが、今回の一件で放出されることがほぼ決定的となった。実際に手を上げる球団はあるのだろうか。
「それは難しいでしょう。特にシーズン途中の移籍の可能性はほぼゼロに等しい。二の足を踏む球団がほとんどだと思います。今やプロ野球もコンプライアンスが重要ですから、暴力事件などは極端に嫌がられます。伸びしろ十分の有望な若手ならまだしも、キャリア終盤に差し掛かった中田の獲得に名乗りをあげる球団はないとみられています」(スポーツ紙記者)
いわゆる“問題児”扱いされる選手は、いくら実績や能力があったとしてもトレードで苦労するケースが過去にも多くみられた。
近鉄やメジャーリーグのドジャースでも活躍した中村紀洋は傲慢な態度や監督らに対する反抗的な言動が問題視され、キャリア終盤にはなかなか所属球団が決まらないという事態に襲われた。
晩年は態度を改めるようになったものの、2014年に横浜DeNAから戦力外通力を受けると、獲得オファーがないまま現役引退となった。
また、横浜や巨人で活躍した村田修一も問題児とされていた選手のひとり。中田に近い兄貴分的存在で後輩たちから慕われていたものの、たびたび素行不良がささやかれていた。
2000本安打まであと135本と迫る中、2017年に巨人から戦力外通告を受ける。持ち前の打力に衰えは見られず、獲得する球団はすぐ現れるとみられていたが、NPBで手をあげるチームはなかった。
いずれも暴力事件などは起こしたことはなかったが、“問題児”という点では中田と共通するところがある。ただ、中田の場合はより根が深いことから、トレードではかなり苦戦を強いられるだろう。
「日本ハムは中田をオフに自由契約選手として放出する可能性があります。少しでも他球団から声が掛かりやすくするためです。トレードは相手球団を巻き込むため、現状としてはなかなか難しい。貢献してくれた中田にせめてもの親心を見せるのではないでしょうか」(スポーツ紙記者)
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これだけの問題を起こしてしまった中田だけに、そのまま現役を引退せざるを得ない状況に追い込まれることも十分ありえる。現時点ではいくつかの可能性が考えられるが、ただひとつ日本ハムから放出されてしまうことだけはほぼ間違いないといえそうだ。