トランプと同レベル。バイデン「米国ファースト外交」の迷惑千万

 

オランダの外相は辞任させられた

バイデンは、アフガンでの戦闘と国家再建が国連やNATOも噛んだ一大国際プロジェクトとなってきたというこの問題の「横糸」も無視した。

アフガン戦争は、あくまで米軍が引き起こしたものではあるが、国連決議を背景にNATO諸国を中心とする有志連合軍を編成され(日本も一時は海上自衛隊の給油艦をインド洋上に派遣して連合軍の準メンバーに)、また国内治安再建を手助けるために国連ベースの「国際治安支援部隊」(40カ国延べ14万人、2014年からはNATO諸国による「確固たる支援任務(RSM)」1万,2500人に交代)が送り込まれ、さらに民間のNGOやNPOも活動するなど、多くの国々と人々を巻き込んできた。このような横の広がりを考えれば、米軍撤退は米国の都合だけで勝手に行って済むことではなく、それら有志連合国の軍部隊、各国政府派遣の大使館員や文民スタッフ、NGO・NPO、それらの現地協力者等々の安全な退避についても十全な考慮と協議がなされてしかるべきだったが、そんなことは一切バイデンの視野には入っていなかった。

そのため日本も含め多くの国々が、大使館員の脱出が精一杯で、自国民の官民スタッフやアフガン人の現地協力者たちを退避させるのに失敗した。その「多くの国々」に米国自身が含まれていたのは笑い話で済むことだが、他の国にとっては深刻で、例えばオランダでは、一部の現地協力者らを退避させられなかった問題などをめぐり下院でカーグ外相に対する問責決議が可決され、同外相は9月16日、辞任を表明した。

英国など複数の国は自国の軍民と協力者の退避を終えるまで米軍撤退を待つよう強く要請したが、バイデンは「聞く耳を持たなかった」(9月22日付朝日)とされる。

事前に恐れられていたように、タリバンが米国はじめ外国に協力したアフガン人を次々に処刑するといった蛮行に出なかったために、結果オーライで救われたのだが、もしそんなことが起きていれば、各国の外相どころではない、バイデンや日本を含む各国首脳の首が次々に飛ぶことになりかねなかったのである。

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