日本は生き残れるか?中国の「孤立」と共にグローバリズムは終焉する

 

3.グレート・リセットは左傾化を招く

2021年のダボス会議のテーマは、「グレート・リセット(Great Reset)」である。グレート・リセットとは、いまの社会全体を構成するさまざまなシステムを、いったんすべてリセットすることを示す。

グレート・リセットを実現させるために重要な取り組みは以下の3つとされている。

  • 政府主導のステークホルダー経済の実現と公平なルールづくり
  • 新たな投資プログラムの活用
  • 第四次産業革命のイノベーションを活用した上での、健康と社会的課題への取り組み

以上を順に考えていこう。

ステークホルダーとは利害関係者。ステークホルダー資本主義は、企業は株主の利益を第一とするべしという「株主資本主義」とは異なり、企業が従業員や、取引先、顧客、地域社会といったあらゆるステークホルダーの利益に配慮すべきという考え方である。これは近江商人の「三方よし=買い手よし、売り手よし、世間よし」に近い考え方である。

また、岸田新総理の提唱する「新しい資本主義」にも共通している。これは格差是正を重視し、中間層への分厚い分配を行い、経済的弱者の所得底上げを図ることで、富裕層との格差を縮小し、国内総生産(GDP)の5割超を占める個人消費を活性化する、というものだ。

更には、中国の習近平主席も、貧富の格差を縮小して社会全体が豊かになる「共同富裕」を新たなスローガンとしている。

貧富の格差是正を行うには、これまでのグローバリズムのルールを改め、国家や地域単位の取り組みが重要になるだろう。

「新たな投資プログラム」とは、国家が大規模な復興基金や景気対策基金を用意して、システムを根本的に変革することを目指すものだ。これを推進することは、ある意味で大きな政府が必要になる。

第四次産業革命は、21世紀のデジタル革命であり、デジタル活用のイノベーションを活用しながら、公共の利益に取り組むことを意味している。

公共の利益を重視するということになれば、やはり大きな政府が必要だ。

以上を総合して考えると、資本主義と言っても、かなり社会主義的な資本主義ということになるかもしれない。

中国は資本主義的な共産主義を推進してきたが、最近では毛沢東時代の共産主義に回帰するような動きも見られる。

結果的に、世界全体が左傾化するのかもしれない。

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