日本は生き残れるか?中国の「孤立」と共にグローバリズムは終焉する

 

2.中国の孤立とグローバリズムの終焉

中国政府は様々な補助金を交付し、価格競争力を高め、実質的なダンピング輸出を徹底し、海外企業を淘汰していった。

輸出による外貨を元に、軍事力を強め、一帯一路政策でアジア、アフリカ、ヨーロッパ等への支配力を強めていった。

そして、「将来的にGDPで米国を追い越す」という予測が出され、中国政府も自信を強めていった。

このタイミングで、トランプ大統領が就任し、状況は一変した。最初は貿易問題だった。米中貿易は一方的に米国が赤字であり、それを解消するために、「製造業を米国に呼び戻し、中国に米国の農産物を買わせる」という方針が打ち出された。

その問題に決着がつく前に、安全保障の問題が生じた。中国人民解放軍との関係が疑われる数十の中国企業をブラックリストに載せ、それらの企業への投資や取引等を禁じた。

これにより、西側諸国の多くはファーウェイの通信機器の使用を断念し、ファーウェイは最新の半導体の調達ができなくなった。グーグルのアンドロイドも使えなくなり、世界のスマホ市場から撤退した。

更に、人民解放軍と関係があり、産業スパイ活動をする可能性のある留学生の受け入れは禁止された。

トランプ大統領が退任する直前には、「新疆ウイグル地区における人権弾圧はジェノサイドである」と認定した。

中国の孤立は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、決定的なものとなった。世界のサプライチェーンが止まり、改めて世界がいかに中国に依存していたかが明らかになった。

中国政府はパンデミックの感染拡大の責任を追求されたが、第三者機関の査察を長期間受け入れず、「感染症の起源は米国にある」と主張し始めた。更に、「香港国家安全維持法」を施行し、香港の民主活動家を次々と逮捕した。

周辺国への圧力も強めている。日本の尖閣諸島では毎日のように海警の船舶が漁船に圧力をかけている。南沙諸島海域の人工島には軍事施設を建設した。中印国境の警備兵が小競り合いを起こした。台湾の領空には毎日のように軍用機を飛ばしている。

中国は自国の軍事力を誇示することで、周辺国の支配を強めようとしているが、これは逆効果だろう。中国がますます国際的に孤立することは目に見えているのだ。

中国が孤立すれば、輸出ができなくなる。輸出ができなければ、外貨不足に陥り、一帯一路等の海外対策もできなくなる。最終的には香港ドルも維持できなくなるだろう。

また、中国国内経済を牽引してきた不動産業もバブル崩壊によって危機を迎えている。巨大企業の倒産と不良債権の増大は、金融機関にも大きなショックを与える。

世界が分断し、中国が孤立すると共に、グローバリズムは終焉を迎えたのである。

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