学校は「ブラック企業」も同然。疲弊する教育現場の恐ろしい現実

 

この結果が頷けるアンケート結果もあった

「いじめの防止等のための基本的な方針」や「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」は学校現場に浸透しているかという設問に対して、感じないとおよそ35%の教育委員会が回答しているのだ。

こうなると、目を覆いたくなるような酷いいじめ事件や被害者の苦痛の叫びが反映されたはずの法とそれによってつくられたガイドライン以外に、何を参考に、何をもって「いじめ」を見ているのかすらわからなくなってくる。

都道府県や政令市の教育委員会がこの程度なのだ。そうではない地域はいったいどこまでの数値が出るのかは絶望的だと考えて間違いはないだろう。

例えば、以前「伝説の探偵」でも取り上げたケースでは、警察が捜査済みなので調べないという結論を出し、これを記事にした私は市の名誉を傷つけるバカ者だと議会議事録にしっかり書かれ、この事件を追うとした地元紙の記者は沈黙を強いられたというものもある。

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こうした地域では、過去にもいじめであったのに見過ごされたり、地元民しかしらないような深刻ないじめ被害などがある事だ。

つまりは、いじめの防止基本方針や条例、重大事態についての内部マニュアルなどを作っていたとしても、さらには、それが一見浸透しているように見えても、その実、活用されることはないということだ。

もはや、国や省庁の他、当事者にはならない有権者などに、やっていますよのアピールに過ぎないわけだ。

根本から見直そう

21日の文科省アンケートから、私が思ったことは、諸問題が目に見える形でわかったではないかということだ。

例えば、自治体の予算が足りないので第三者委員会の設置が困難であったり、委員を形成する専門家がその地域にほとんどいないという問題もあるとされている。また、より具体的なガイドラインが欲しいという意見もかなりあった。

また、いじめの加害者やその保護者が調査に非協力的で、強制力を帯びない第三者委員会などが、聞き取りに苦労したり、事実認定に苦労しているということもあった。

その一方、上に書いたような、教育委員会側の体たらくで、十分すぎるほどの相当期間があったのにも関わらず、問題の初期段階から準備もないというところがあることがわかったわけだ。

別の目線でみれば、ある意味実行部隊になりやすい現場教員のブラック労働や数の不足という問題もある。これは、役割や負担として、いじめ対応までが難しいということを意味するであろう。

さらに、日本が国として支出する教育に関する費用は世界水準で見ても、GDP比で考察すれば低いという問題もあるし、これは国民の教育費負担の問題も繋がるのだ(北欧3か国は大学の入学費や授業料が無料であったり、特にヨーロッパでは、ただ同然で高等教育が受けられる仕組みが充実している)。

つまり、いじめ問題からみても教育の構造は、もはや破綻したに近い状況が浮き彫りになってきていて、その構造の根本から見直さなければならないところにきているはずだ。

どんな樹木も根っこが古くて腐っていれば育つことはないし、たいていの魚は頭から腐るように、進化する教育制度や環境にマッチし、こども達の安全や命を守るといういじめ対策をしっかり行っていくには、未来への投資としての予算が必要であるし、同様に構造を根本から見直していく必要があると思うのだ。

ぜひとも文科省には、リーダーシップを発揮してもらいたいものである。

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