減額で広がる不安。なぜ年金改革を叫び続けても日本の制度は変わらないのか

 

年金額を意図的に引き上げていくしかないので、約5年間隔で改正して年金額の水準を大きく引き上げていきました。

ところが現役世代の人の賃金の伸びが毎年10%とか物価の伸びが毎年5%とかそのくらいのものだったので、改正して年金額を引き上げてもすぐ現役世代の賃金との差が出来てしまいました。

そこでわざわざ改正しなくても、物価や賃金の伸びという経済の変動率を年金にスライドする方法(物価スライド制)が昭和48年から導入される事になり、これにより毎年改正しなくても年金は自動で物価や賃金の伸びを反映するようになったのです。

ちょうど石油危機の年だったから、物価が2年で約40%ほど上がったので年金も同じだけ上がる事になりました。当時は狂乱物価と呼ばれました。

これが現在も、年金額変動の場合の大原則となっています。

まあ、現在は平成16年の改正からはそんな単純なものではなくなりましたが、考え方の原則は物価や賃金が上下すれば年金も上下するものであるという事です。

よく年金の抜本的な改革という事が言われたりしますが、結局のところ日本の経済が良くならない限りはどんなに年金の構造を変えても解決はしないので覚えておきましょう。

年金が下がる時はどうしてもいろんな不安を煽る話が増えるからですね…^^;

image by: Shutterstock.com

年金アドバイザーhirokiこの著者の記事一覧

佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
年金は国民全員に直結するテーマにもかかわらず、とても難解でわかりにくい制度のためその内容や仕組みを一般の方々が学ぶ機会や知る機会がなかなかありません。
私のメルマガの場合、よく事例や数字を多用します。
なぜなら年金の用語は非常に難しく、用語や条文を並べ立ててもイメージが掴みづらいからです。
このメルマガを読んでいれば年金制度の全体の流れが掴めると同時に、事例による年金計算や考え方、年金の歴史や背景なども盛り込みますので気軽に楽しみながら読んでいただけたらと思います。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座 』

【著者】 年金アドバイザーhiroki 【発行周期】 不定期配信

print
いま読まれてます

  • 減額で広がる不安。なぜ年金改革を叫び続けても日本の制度は変わらないのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け