プーチン再選のために虐殺されたウクライナ市民の「軽すぎる命」

 

それと、そのような行動、究極形としての虐殺行為。これをロシア軍の正規軍の兵士が普通にやれるだろうかということを考えると、どうなんだろうという気がするんですね。途中からということもありましたけれど、投入されている兵力のうち、ロシア軍の正規軍だけではなくて、傭兵部隊がありましたね、シリアあたりからきているね。それからチェチェンから1,000人くらい来ていますよね。

チェチェンというのはウクライナや、その前のジョージアのように、ボカスカ町そのものを破壊して独立を叩き潰した戦争、独立の願いを叩き潰した戦争、紛争ですけれど。そのときにプーチン側、ロシア政府側に立って行動したカディロフでしたか、今は息子さんの時代になっているようですけれども。その人たちが率いている武装集団みたいなもの。それからプーチン氏におそらくは忠誠を誓っているFSBの職員、元KGBの人たちですね。こういう、法律にもとらわれず殺害行為を自分たちの行動の中に組み込んでいるような人たちが、この行動をやったのではないかという気がしています。それを含めてこれから明らかになることは色々あるのだと思いますね。

ロシア政府は当然、これは西側のフェイクだ、ねつ造だ、嘘だと「反論」なるものをしているようですが、悲しいことに嘘をつくことも下手くそになったのだなという気がします。誰があの言い訳を信じるか、信じてもらえると思っているのでしょうか。ただ、どうやら彼らにとって、国際的にどれだけ批判されても痛くもかゆくもないところがあってですね。

吃驚したのですが、YouTubeなんかで色々見ていると、ロシアのテレビの映像も入ってくるんですよ。それを見ると、ロシア軍がまるで解放軍なんですよね。そのストーリーは最初から提示されているもので、ドネツク、ルガンスクで親露派の住民をウクライナ政府が弾圧している、殺害までしているというストーリーですよね。その可哀想な人たちを救出に行くというのが、少なくとも当初言われていた戦争の目的だった。それに沿ったニュース番組みたいなのもあってですね、これが無茶苦茶ウソっぽいんですけれど、ただ、メディアの弾圧を徹底的にやって、もうすべてが「プーチン放送局」「プーチン新聞」みたいになっている中で、今の戦闘の様子はこうですよという映像、ロシア兵は頑張っていますという感じの映像を見せられたら、多くのロシア国民、モスクワ市民は、ああ、やはりプーチンは正しいのだと、もしかしたら思うかもしれないですね。それを自らがプーチンを信じていることの根拠にしたい…周りに批判する人がいたら、それはおかしい、「おまえはちゃんとテレビを見たか」みたいなことを、何というのですが、理屈として使えるじゃないですか。私は見たのだと。住民のインタビューもそれなりに入っていたりして、これまたウソっぽいんですけれど。勿論、写っているのは本当の被害者かもしれないのですが、その人がどういうことでケガをしたのか、親戚家族が亡くなったのかということをちゃんと語っていないようなのです。

そういうことがあるので、国内的な批判を押さえ込む態勢は作り上げたので、2年後の選挙は大丈夫、という話なんだろうということです。ということは仮に停戦協議が続いたとしても、実際の停戦には至らず、いつもウクライナ国内のどこかに散発的な砲撃が加えられて、毎日何人か亡くなっていくということが、プーチンのためにずっと続けられていくという。なんと馬鹿馬鹿しいのでょう。そのような状況だと思います。

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