で、もう一つ。吃驚した事件があって。その3年前、65年にやはり大きな事件が…。殺された人の数は20人くらいなのですが。タインフォン村というところで非戦闘員を虐殺した。ちなみにベトナム戦争全体を通して米兵は5万人ほど死んでいますけれど、ベトナム人は200万人死んでいますからね。それはおいておくとして。ボプ・ケリーさんというね、一時大統領候補にもなったような上院議員がいたんですよ。その人が2000年以降だと思いますけれど、元部下の証言で、戦争当時、蛮行を命じていたことが明らかになり、本人も認めた。若い頃、彼はシールズの一員だった。海軍の特殊部隊。で、上の方の人だったのだと思いますけれど、彼が作戦の一環として、ある一帯を作戦行動のためにすべての障害を除去する、そのためにシールズが動いたわけですけれど、その過程で20人の罪のない、戦闘員ではないベトナム人を殺害しているんですね。私は、それこそ20年以上前ですが、CBSかなにかの番組で見たと記憶しているのですが、ボブ・ケリー自身が殺害行為をしているのではなかったかな。お祖父さんとお祖母さんと8歳くらいの小さな女の子が住んでいる家にシールズの隊員が入り込んで3人をナイフで殺害する。シールズの人殺しの仕方は、声を出させないために喉をかききるんですね。その家の3人が亡くなり、お墓の写真も見ましたけれど。作戦上必要とされれば、地域をきれいにしてしまう、邪魔を一掃してしまうために、非戦闘員の命を奪う。そのことに何の躊躇もないんですよ。それが軍隊のあり方なのだと思います。
まあ、虐殺の話をあまりたくさん聞いても辛くなってしまうと思うので。今度の虐殺も、まさに大統領の再選のためにですよ、部下の兵隊が外国で非戦闘員の人たちを拷問したり殺害したりするということが起こっているわけですね。これ以外にも虐殺の話で言うと、どうしても「社会主義と虐殺」というテーマを語らざるを得ないのですが、時間がありません。あるいは日本自身のことというのもあって、関東大震災のときの朝鮮人の虐殺問題、中国大陸での南京事件のことも言わなければならないのですが、それは別の機会にしましょう。
(『uttiiジャーナル』2022年4月10日号より一部抜粋、続きはご登録の上、バックナンバーをお求めください)
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