プーチン再選のために虐殺されたウクライナ市民の「軽すぎる命」

 

えー、それから虐殺に関して色んなことがありますけれど、直接ウクライナの情勢とは関係ないことですけれど。アメリカ人も歴史的に見ると大きいことは言えなくて、特に先住民に対する虐殺は凄まじい。計算はどういう風にしているか分かりませんが、一説には950万人くらいのアメリカ先住民、いわゆる「インディアン」が殺害されたといいます。

多分、私のように70年代に高校生活を送った人は覚えておられるのではないかと思いますけれど、『ソルジャー・ブルー』という映画がありましたよね。私の大好きなキャンディス・バーゲンさんが主演を努めておられましたし、バフィーセントメリーという先住民の歌手の方が主題歌を歌っておられました。

これは南北戦争(1861年~64年)の最中、シャイアン族の集落、ほとんど女性ばかりだったらしいですが、それを騎兵隊が襲い、皆殺しにした事件です。アメリカの開拓の歴史、アングロサクソンの開拓史はほとんど先住民に対する虐殺の歴史とパラレルでして、例えば特定の部族と条約を結んで、ここは君たちこっちは私たちだから入ってこないでねというような条約を結ぶ。ところが、「インディアンの居留地」、先住民の居留地から金鉱が発見されると条約をすぐに破って攻め込むというようなことをアングロサクソンの皆さんはやってこられました。その果てに何が起こったかというと、先住民は皆で殺すべきだということが公言されるまでになっていく。まさにジェノサイドだと思うのですが、そのようなことがありました。

で、それを題材にした映画だったのですよ、『ソルジャー・ブルー』は。しかし、アメリカの西部劇の中では全く異質な映画といわれたこの作品が70年に出たのかというと、それはその2年前の1968年の何月でしたかね、ベトナム戦争最中のクワンガイ省でしたか、ソンミ村ミライ部落というところで起きた虐殺事件。507人村民がいたのですが、そのうち504人が殺される事件が起こっています。ご記憶の方多いと思いますが、カリー中尉という人が現場で指揮を執りました。命令したのはその上司の大尉くらいでしたかね。中隊長くらいだったと思いますけれど。裁判が行われましたが、有罪になったのはカリーさん一人で、そのカリーさんも懲役10年だったのが途中で仮釈放され、今もお元気なのではないかと思います。

その事件がベトナム反戦運動を非常に大きくしていくきっかけになった。虐殺の証拠写真がたくさん出てきたので、これでベトナム戦争は汚い戦争だということがアメリカ国民に知れ渡ったわけですよね。当然、反戦運動のきっかけになりました。

戦争の論理というのは、一般人を殺すということを全く躊躇しないんですよね。

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