プーチンの狂気に闘士が立つ。脱原発の女性が新潟知事選出馬のワケ

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5月29日に投開票を迎える新潟県知事選ですが、脱原発を訴える女性候補が登場し小泉純一郎元首相らが支持を表明するなど、ここに来てにわかに盛り上がりを見せています。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、地元の有力経済人でもある女性候補の人となりを紹介。さらに共闘の足並み揃わぬ野党に対しては、彼女が掲げる「脱原発」の旗印のもとでの再結束を提案しています。

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有力経済人の出馬表明で「脱原発」が争点となった新潟県知事選

7月の参院選を前に、注目すべき選挙がある。5月29日投開票の新潟県知事選だ。現職知事の楽勝ムードを吹き飛ばすかのごとく、柏崎刈羽原発の再稼働に反対を唱えて、有望な候補者が地元経済界から現れた。

ロシアによるウクライナ侵攻で、欧州最大のザポリージャ原発が攻撃を受け、戦争やテロによる原発の危険性があらためてクローズアップされている。

新潟県民にとって、ザポリージャ原発の被害は、他人事ではない。柏崎刈羽原発は世界最大の規模であり、現在はテロ対策設備の不備の発覚などで停止中だが、自民党の原発推進派議員からは、再稼働を強く求める声が上がっている。ウクライナの戦争で原油や天然ガスが高騰し、今後、電気料金の値上げも予想されるためだ。

そのような中での新潟県知事選。常識的には、現職の花角英世知事(元国交省官僚)の優位は動かない。自公両党に加えて、今回は国民民主党と連合新潟が支援にまわるのだ。しかも、立憲民主党は独自候補を立てず、自主投票と決めている。

そこに、「脱原発」を唱えて颯爽と立候補の名乗り上げたのは、片桐奈保美氏だ。新潟で着工実績13年連続1位を誇る大手住宅メーカー「株式会社イシカワ」の副社長で、新潟経済同友会副代表幹事でもある。

バリバリの経営者にして、脱原発の“闘士”。2016年に新潟県知事に当選した米山隆一氏(現・衆院議員)は、片桐氏が会長をつとめる「新潟の新しい未来を考える会」から強力なバックアップを受けていた。

有力な候補者の出現に驚いたのは新潟の政財界関係者だけではない。小泉純一郎元首相もその一人だ。

4月10日、「新潟の新しい未来を考える会」が開いた脱原発のシンポジウムに、小泉氏の姿があった。ゲストとして招かれ、スピーチした。

「片桐さん、70歳を過ぎても若々しいです。それで、女性ですよ。頑張ってもらって、まず新潟から原発をゼロにしよう。その声を全国に届けてもらいたい」

同じくゲストとして同席した元経産官僚、古賀茂明氏によると、小泉氏はこう語っていたという。

「知事選は現職が強いんだよ。普通じゃできない。よく立ってくれたな。応援しないわけにはいかないよ」

たしかに、新潟の有力企業の経営者として社会的地位が確立した72歳の女性が、現職知事に反旗を翻して出馬するという決断は、よほどのことがないとできないだろう。

自民党からすると、野党分断に成功した選挙でもある。なにしろ、国民民主党と連合を味方につけているのだ。

国民民主党が新年度予算案に賛成し、自民党との連携をめざしているのは周知の通り。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」凍結解除に関する自民、公明両党との3党協議について、玉木雄一郎代表は「トリガーを全くしないというなら、協議から離脱する」とけん制していたが、4月19日の3党会合では、「当面見送り」であっさり合意した。与党入りへの色気は隠しきれないようだ。

連合の芳野友子会長も自民党との距離を縮めている。2月17日に自民党の小渕優子組織運動本部長と、3月16日には麻生太郎副総裁と会食。4月18日には、自民党政調会の政策会合に出席した。

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