消費税に改憲、日韓関係。参院選で投票先に迷ったら検証すべきポイントは

 

一方で、現在の共産党は選挙向けには若者の貧困がどうとか、格差是正などと言っていますが、実態は高齢者向けの同好会のようになっています。また実際の活動としては、例えば、持ち家住民の既得権益を守るために、公共インフラに延々と反対したり、一部企業に系列労組を送り込んで猛烈なトラブルメーカーになったり、ピンポイント的に悪い意味での闘争主義に走っている訳です。

せっかく「一番左」という評価があり、漠然とではありますが、もっともっと貧困が広がったら共産党という期待も一部にはあるのかもしれません。ですが、そうした潜在的な期待に応えるには、暴力革命は流石にしないかもしれませんが、共産党ならではの「ルールからの逸脱」をしないという確約が必要です。

例えば、政権を取っても環境や労働の規制、あるいは税制での社会改革はやっても、統制経済にするなど経済活動を破壊しない、言論と表現の自由、信教の自由などは保証するということを約束させるべきです。また、そのような約束ができるのであれば、共産党という時代錯誤の名称はやめて「一番左の党」とでも変えて、無害化すべきでしょう。党内の多数意見がサッパリ伝わらないあたりも、非常に不気味です。

そうした批判をしないで、利用するために組むとか、アンチ共産党票があるので、叩けばいいというような態度は無責任だと思います。また、そのような改革のできない共産党も大いに問題だと思います。

格差問題については、まず事実の認識、どのぐらいひどい格差なのかを正確に理解すべきでしょう。その上で、産業構造や労働規制を変更することで可能になる是正、そしてどうしても必要な場合は再分配があり、しかしながら再分配の形式もバラマキではなく、職業訓練や産業誘致などマトモな政策を考えるのかどうかです。

一方で、空洞化については民主党の円高政策のせいだけではないわけで、終身雇用と年功序列の人事システムが21世紀の経済にミスマッチを起こしたこと、エネルギーの安定確保が怪しくなったこと、この2つが大きな要因だと思っています。その点にメスを入れないで、国産品を買い上げなどというのは、タチの悪い漫談に他なりません。

タチの悪い漫談ということでは、消費税論議の不毛というのもヒドすぎると思います。国の財政というのは、大きなプールのようなものです。ですから、消費増税をしたタイミングと、法人減税をしたタイミングが重なった場合には、全体で財政のプラスマイナスの計算をするということはあります。

全体として、カネが足りなければ引っ張って来ないといけないわけです。一方で、借り過ぎて倒産(国債デフォルト)になっては大変ですから、財政規律は確保しなくてはなりません。ですから、消費増税と法人減税をしたタイミングが同じなら、双方は表裏一体と見るストーリーは出てきそうです。一方で、年金福祉に関してどんどん赤字幅が広がっていて、消費税率を上げることでその赤字が埋められるとしたら、その金は年金福祉に回っているというストーリーも描けます。

ですが、所詮は、全体で一つなわけです。産業を21世紀の環境に見合うように転換する、その上で経済成長をして空洞化を阻止するのには、法人減税は必要です。ですが、そのように意味のないマネロン論議のようなことをして、有権者を惑わすのは止めていただきたいです。

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