消費税に改憲、日韓関係。参院選で投票先に迷ったら検証すべきポイントは

 

仮に、そうした「エグみ」と言いますか「有害添加物」を除去することができて、クリーンな西側の自由経済、自由と人権、民主主義、エネルギー多様化と競争力確保というような政党ができれば投票行動には迷わない訳です。ですが、どうしても政党ということだと、全くクリーンな政党はありません。

また、「ジジウヨ票」や「ネトウヨ票」をガツガツ集めようとか、「惰性的な一国平和やエコ、反原発の票をまとめれば当選ライン」というような、選挙ゲームにさえ勝てば良いという政治家であっても、中の人としては必要な情報にリーチできていたり、要職に置けば機能するだけのスキルがある人もいます。

ですが、問題は、全くのスキル不足で、「何かをやるには官僚頼み」とか、ガチンコの受け答えは無理なので、取材は文書でなどという人材もいる訳です。党議拘束のある日本では、一人の政治家は「国会内の一票」に過ぎないので、極端な話が政策への知識がゼロでも務まってしまうのです。ですから、投票行動をするとして個人の資質を考えるということも重要になってきます。

つまり、表面的に各政党が掲げている争点だとか政策、公約といったものではなく、できるだけ各政党のホンネであるとか、もっと言えば一人一人の政治家の資質をしっかり見極めることが大事だと思います。

では、どうした良いのでしょうか?

基本的には、今回の2022年の参院選には多くの隠れた争点があります。表面的に騒がれている争点ではなく、この時点で日本という国が選択すべき争点は議論の奥に確実にあります。その隠された争点について、その政党が、あるいはその候補者が何を考え、何を発信しているのか、これを検証するのです。

順番に行きましょう。

まず、改憲問題です。現在言われているのは、今回参院選で83を「改憲勢力」が取るのであれば、3分の2という改憲発議可能ラインに届くという事実です。これはかなり重たい事実ですので、各候補者には次の3つ(各候補にとっては2つずつですが)の質問に関する答えを持っておくことが求められます。「改憲への賛否」「賛成の場合には具体的な条文案」「反対の場合には解釈改憲を認める積極的な理由」がその質問です。

賛成の場合には、例えば9条に関しては、「3項追加で例外として自衛隊の存在を許可」なのか「9条全面改定で正規軍化」なのか、あるいは(現時点では知られていませんが、私の個人的な提案である)2項を「前項の目的を達するため自衛隊を設置する。国の交戦権はこれを認めない」というようにするか、とにかく国会議員になろうというのですから具体案を持っている必要があります。

反対の場合は、9条の解釈改憲についてのロジックが必要ですし、その他の宗教系私学への助成問題、教育は権利か義務か、同性婚と両性の同意などについても、解釈改憲のロジックを明確に語る必要があります。

次に、防衛費2%問題です。岸田総理はこの点では曖昧な態度で詳しく説明していませんが、反対の場合は抑止力確保の具体案、賛成の場合は財源を明確にすべきです。頑張って経済成長して財源にするなどという落語のような説明ではダメです。とにかく、軍拡競争にのめり込んでいったら負けるのは確実なので、その歯止めも含めて、「責任ある論議」に参加できる人物かどうかは、大きなチェックポイントになります。

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