「56」「63」「82」。参議院選挙における与党3つの勝敗ラインとは

 

選挙の仕組み

私たち有権者は、投票所において「選挙区」と「比例代表」の2種類の投票を行う。このうちの選挙区については、投票用紙に候補者の名前を書いて1票を投じる。

選挙区は、原則、都道府県単位だ。しかし1票の格差を是正するために、前々回の6年前の2016年の選挙から、「島根と鳥取」「徳島と高知」とをそれぞれ一つの選挙区とする「合区」が実施され、選挙区の数は45となった。

改選される議席の数は、定数1の1人区が32、2人区4、3人区4、4人区4、そして最も多いのが東京選挙区の6人区。

比例代表については、投票用紙に政党や政治団体の名前、あるいは候補者の個人名のいずれかを書いて投票。改選される議席数は50。

比例代表の場合、政党名と個人名の票の合計が、政党の得票数となり、その得票数に応じ、「ドント式」と呼ばれる計算方法で議席が配分される。

各政党の各議席のなかで、どの候補者が当選するかは、原則、個人名に投票が多い順番で決まる。

参議院の選挙は衆議院選挙と異なり、比例代表の候補者の名簿に順位がつけられていない。これを「非拘束名簿式」という。

しかしながら、前回の選挙から候補者個人の得票に関係なく、あらかじめ政党が決めた順位に従って優先的に当選者が決まる「特定枠」が設定された。

「非拘束名簿式」とは、参議院の比例代表は、各党が獲得した議席の枠の中で、名簿にある候補者は獲得した個人名による票の多い順に当選する仕組みのこと。

しかし「特定枠」が、この非拘束の候補者の名簿とは切り離し、政党が「優先的に当選者となるべき候補者」に順位をつけた名簿をつくる。

この特定枠の候補は、個人名の得票に関係なく、名簿の順番通りに当選者が決まる。

ただ、この特定枠を実際に使うかどうかは、あるいは使う場合、何人に適用するかについては、各政党が自由に決めることができる。

前回の2019年選挙時には、3つの政党・政治団体から合計5人が特定枠として立候補、そのうち4人が当選した。

しかし、この特定枠の候補者は選挙事務所を設けたり、選挙カーを使ったりするなど、個人としての選挙運動はできない(*3)。この特定枠に候補者の名前が書かれた場合には、その政党の有効票となる。

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