「56」「63」「82」。参議院選挙における与党3つの勝敗ラインとは

 

世界で相次ぐ政治変動 対して日本は?

昨今の国際情勢を受け、世界各国では政治変動が相次いでいる。たとえば、フランスやドイツ、イギリス、南米のコロンビアなどだ。

6月19日に行われたフランスの総選挙(下院・国民議会選、定数577)の決選投票では、マクロン大統領率いる「共和国前進」を軸とする中道の与党連合が過半数(289)を大幅に下回る敗北を喫した。

一方、左右両極の勢力が大きく躍進する。与党連合は、前回(350議席)から100議席以上減らした。

イギリスでは、2つの選挙区で6月23日、保守党現職の辞任と収監による下院議会の補欠選挙があり、双方で与党である保守党が敗北した。

ジョンソン首相は新型コロナウイルスの感染拡大抑止のためのロックダウン期間中に首相官邸で飲酒をともなうパーティーを繰り返していたことが判明、昨年末から批判の嵐だ。

ドイツでは、西部のノルトライン・ウェストファーレン州で5月15日に投開票された州議会選挙で、ショルツ首相の所属する中道左派のドイツ社会民主党(SPD)が敗北。物価高をめぐる市民の不満の高まりや、ウクライナ情勢への対応の混乱が背景にあるようだ(*5)。

政治変動は先進国以外にも波及。南米のコロンビアで6月19日、大統領選挙の決選投票が行われ、元左翼ゲリラで首都であるボゴダの市長も務めた左派のグスタボ・ペトロ上院議員(62)が勝利を収めた。

結果、コロンビアで初めて左派政権が誕生することとなった。

日本はどうか。昨年の衆議院総選挙終了時、ニューヨーク・タイムズはこう書いている。

「最初から結果が見えている選挙」というと、ロシアやイラン、香港などを思い浮かべる人が多いと思う。

 

しかし、議会制民主主義を採用し、世界第3位の経済大国である日本では、1955年以来、4年間を除いてずっと同じ政党が政権を握っている。

(大門小百合、2021年10月22日(*6))

日本の民主主義はロシアやイランレベルだそうだ。自民党政権が長期に続いた結果として、我々は確かに安定を手にした。しかし、「安定」と「成長」とは、明らかに違う。

さらに現職の政治家が居座ることの弊害は大きい。新規参入が進まず、とくにこのことは女性議員の参入を拒む要因ともなる。

■引用・参考文献

(*1)泉宏「与党圧勝予測の参院選で注目、生き残る党首は誰?」東洋経済ONLINE 2022年6月28日、

(*2)「参議院選挙の仕組み」NHK 選挙WEB 2022年6月15日

(*3)「特定枠とは・合区とは」NHK 選挙WEB 2022年6月15日

(*4)西日本新聞6月22日付朝刊

(*5)「ドイツ最大州でも選挙敗北 ショルツ与党に打撃」日本経済新聞 2022年5月16日

(*6)大門小百合「日本の政治は「ロシアやイラン」並み…世界のメディアは総裁選・衆院選をどう報じているか」PRESIDENT Online 2021年10月22日

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年7月2日号より一部抜粋)

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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