なぜ18歳未満の高校生を雇う企業は「注意」しなければならないのか?

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夏休みに入り、短期のアルバイトなどで高校生を雇い入れている企業も多いのではないでしょうか。しかし、18歳未満の高校生については、多くの制限がかかることに注意しなければなりません。無料メルマガ『 採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ 採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ 』の著者である社会保険労務士の飯田弘和さんが、その注意点について詳しく解説しています。

深夜業務、危険な業務はNG。高校生を働かせる際のルールは?

今日は、ある労働者さんからの相談をきっかけに、わたしから事業主の皆さんに確認の意味を込めてお話しさせていただきます。今回は、高校生を働かせる際のルールを確認していきたいと思います。

労働基準法では、18歳以上と18歳未満とで、働かせ方が変わります。18歳以上であれば、たとえ高校生であっても、一般の労働者と同様に働かせることができます(ただし、労基法以外の法令で制限が掛かることがあります)。

しかし、18歳未満の高校生については、一般労働者とは異なる制限が掛かります。以下、18歳未満の高校生について適用される労基法上の定めを挙げていきます(正確には、高校生かどうかは関係なく、15歳の年度末以降18歳未満の労働者に適用されるものです)。

まず、深夜労働が禁止されています。深夜労働とは、22:00から5:00までの労働をいいます。この時間帯は働かせることができません。

また、残業が禁止されています。ここでいう残業とは、法定時間外労働をいいます。ですから、原則、一日8時間を超える労働や一週40時間を超える労働が禁止されています。

ただ、18歳未満の高校生には、労働時間の特則があります(労基法60条3項)。
それは、週の中の1日の労働時間を4時間以下にすることで、その他の日の労働時間を一日10時間までにすることができます(ただし、一週間の労働時間は40時間以下でなければなりません)。

この“10時間”というのは、8時間を超えてはいるものの、残業とは扱われないため、割増賃金は不要です。この制度は、彼らにだけ適用が可能な変形労働時間制度と考えてください。

他にもあります。事業所には、18歳未満の高校生の“住民票記載事項証明書”を備えなければなりません。また、危険な業務(例えば、クレーンの運転業務)や衛生上有害な業務(例えば、ヒ素を取り扱う業務)、福祉に有害な業務(たとえば、バーでの接客業務)に就かせることができません。

今は夏休みという事で、アルバイトとして高校生を雇っている事業所も多いと思います。高校生を雇入れる際には、面接時にきちんと年齢確認を行い、18歳未満であるならば、上記で示した点に注意して働かせてください。

また、事業主の皆さんに、わたしからの個人的なお願いですが、高校生が社会や働くことに不信を抱くような働かせ方をしないでください。よろしくお願いします。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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