プーチン亡命かクーデターか。中国が避けたい露の親欧米政権樹立

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9月30日、ウクライナ4州の併合を一方的に宣言したプーチン大統領。領土防衛のためなら核兵器の使用もいとわない姿勢を見せていますが、この先戦況はどのような推移をたどるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、4州併合によりロシアが主張していた「軍事作戦」から「祖国防衛戦争」となったウクライナ紛争の最新の動きを解説するとともに、プーチン大統領が核兵器を使う可能性を考察。さらにこの戦争を終結させる方法を提示しています。

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リマン陥落。プーチンが匂わす戦術核の使用

ウクライナ戦争で、ロシアは東部南部4州の併合をし、部分動員で兵力の増強をしたが、東部要衝リマンをウ軍に奪還されたことで、ルハンスク州の防衛も危なくなっている。プーチンは戦術核の使用も匂わしている。今後を検討しよう。

ウ軍は、オスキル川を渡河して東岸を攻撃しているが、ウ軍の前進をロ軍は止められていないようである。

リマン攻防戦

スラビアンスク東側の攻撃でウ軍の前進は急速である。オスキル川を渡河したウ軍攻撃部隊が、リドコドップからカテニフカを奪還して、包囲されたノボセリフカやオレクサンドリフカからロ軍は撤退し、リマンに逃げこんだようだ。

しかし、ヤンピルの東側地点から攻撃するウ軍が北上して、リドコドップから南下しているウ軍は、スタフスキーのロ軍防衛線を突破し、ドロビシェブとリマンを結ぶ補給線を切断して、リマンを包囲した。さらにドロビシェブのロ軍も撤退した。

ヤンピルのロ軍も撤退し、ウ軍が奪還し、そのため、リマンからロ軍もやっと撤退したが、包囲を抜け出せず、殲滅になる可能性がある。リマンには5,000人のロ軍がいたが、どれだけが撤退できたのであろうか?

ということで、この地域全体をウ軍は奪還したようである。ドネツク州北部は完全にウクライナ軍の奪還になり、今後はルハンスク州の攻防になる。

リマンを奪われると、ロ軍の次の防衛都市はザリチネとクレミナになり、防衛線は、ザリチネ川になるのであろう。しかし、この方面のロ軍は、戦力が足りずに依然苦しい。すでにクレミナの南にウ軍が到達していて、クレミナを攻撃している。今後、ロ軍も部分動員兵を増援するがどれほどの戦力になるか疑問である。

しかし、東部一帯は、この時期雨が多く、戦車などの機甲部隊は路外走行ができなく、仕方なくP07など主要道路を進むしかなく、このため、待ち伏せ攻撃の危険があり、歩兵を斥候で送り、その後を機甲部隊が進むことで進軍速度が、大きく落ちている。それでもクリリフカを奪還している。

このため、リマン包囲戦以外では前進速度が緩やかだ。

その他方面

ロ軍は、精鋭部隊がいなくなり、バクムット周辺やドネツク市周辺でのロ軍の攻撃圧力が縮小して、ロ軍は前進できないでいる。そして、ここの主力であるワグナー軍も徐々に精鋭兵士が消耗して、囚人兵や新兵になり、その攻撃も単調になってきた。

ワグナー軍を狙い、HIMARSで基地や指揮所などを攻撃した効果が出て、ワグナー軍の勢いがなくなってきた。

しかし、ウ軍は南部ヘルソン州での攻撃では、苦戦しているようだ。しかし、ドニエプル川の橋やフェリーは相変わらず攻撃しているし、はしけや通行のトラックなどへも砲撃しているので、食料や飲料水が思うように確保できない状況は変わらない。

ロ軍は、ドニエプル川西岸に、クリミアから部分動員2,000人の増援を送っている。ここにも死守命令を出しているようだ。

しかし、ウ軍はドニエプル川西岸の北東部のクレシェニフカのロ軍要塞を制圧したというように、徐々にロ軍は弱体化はしているが、プーチンの撤退拒否で、ロ軍はウ軍を反撃もしているが、防衛のための攻撃になっているだけである。

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