戦争終結は
今までのところ、ウ軍の損害も大きい。戦死者は10万人とも試算され、ロ軍死者数の約6万人より随分と大きい。
とはいうものの、ウ軍は新兵を英国やNATO諸国で3ケ月の訓練を終えて前線に投入されている。一方、ロ軍は動員兵を最長でも1週間程度の訓練で前線に送っている。ロシアは予備役が200万人で、ウクライナは総動員であり500万人の徴集が可能である。
ソ連時代の備蓄が周辺国にもあるロシアが不利ともいえないし、欧米の兵器が無制限に供給されるウクライナが勝つともいえない。
もう1つ、戦争でウ軍が、本来のロシア領内に侵攻することになったら、プーチンは核兵器を使うことになる。これは避けたいので、欧米はウ軍に抑制を要求するので、戦闘だけでは、戦争は終結しないことだけは確かである。
それと、ウクライナ4州をロシア領に併合したので、ロ軍を自国領へ撤退するという概念もなくなり、ロシアは戦い続けることになる。祖国防衛戦争にしてしまったことになる。
このため、戦争は長期化する。
しかし、部分動員でもプーチンへの支持率が83%から77%に急落している。このため、戦争宣言で戒厳令を出して、総動員令が出ると、ロシア国内は、大きく動揺することになるようだ。しかし、ロシアの動員可能数は2,500万人とショイグ国防相は言う。
ロシア動員可能数2,500万人対ウクライナ動員可能数500万人でありこの対応策として、ウ軍は、大量のロ軍兵の降伏を狙うしかない。
そして、徐々に部分動員されたロ軍新兵が前線に出てきている。
この新兵を対象に、ウクライナは降伏させるように、ロ軍捕虜には、家族への電話を許可して、降伏後の待遇が良いことを家族に伝えて、その家族が周囲にウ軍捕虜の待遇が良いので、動員で前線に送られたら、すぐに降伏した方が良いと宣伝させるようだ。
それでは、戦争を終わらせるには、どうしたらよいのであろうか?
ロシア国内での反動員運動を盛り上げ、かつウクライナでの悲惨な戦場を経験させて、ロシア国内の世論を反戦に向けて、プーチンを亡命かクーデターかなどで、排除が必要なのであろう。排除後、欧米寄りの政権を樹立して、親欧米にすることである。
これでは、中国は、欧米陣営に包囲されてしまうので、ロシアの体制変更を避けたい。このためには、体制派であるFSBに、プーチンを排除させて、ロ軍をクリミアを含めたウクライナ領内から撤退させて、早期に停戦に向かわせるしかない。中国が重要な位置を占めている。米国も気が付いている。
先端技術防衛などの技術的な対抗政策をするが、米国は、中国との関係を壊していない。この証拠に、米国は、台湾を「同盟国」に指定するのを見送った。欧州のような反中的ではない。
事実、一部ロシア政権幹部とFSBは、プーチンの亡命先を探しているようにも見える。しかし、プーチン亡命を受け入れる国は少ないであろう。
というように、プーチン後の体制をどうするのかという陣取り合戦が、米中で話し合われているとみる方が良い。このため、米国は中国との関係を壊さないのであろう。
さあ、どうなりますか?
(『国際戦略コラム有料版』2022年10月3日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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